アート

シンプリシティをさらに進化させたオピーの現在形。

BRUTUSCOPE

No. 896(2019.07.01発行)
新・珍奇植物
『ジュリアン・オピー』

ジュリアン・オピーの大型個展が東京オペラシティ アートギャラリーで開催。

 ジュリアン・オピーと聞いてまず思い浮かべるもの、それは多分、ミニマムなポートレート作品だろう。顔の輪郭線の中に、眉・黒目・鼻の穴・口・髪、そして蓄えている場合は髭。たったそれだけの要素でその人の人となりまでを何となく感じさせてしまうユニークな画風で、オピーは1990年代のアートシーンで一世を風靡した。

 グルビのチャッピーをさらにシンプルにしたような、でもチャッピーと同じく明るくポップで憎めない画風と言えば、思い出す人も多いはずだ。

 そんなオピーの大規模個展が11年ぶりに日本で開催される。近年のオピーは当時のポートレート作品をさらに進化させ、全身を描いた集合作品が多くなっている。顔は丸い輪郭のみに簡略化され、輪郭線のタッチは以前よりも力強さを増した印象だ。その画風の性格上、絵画、造型、彫刻、映像など、描かれるメディアも幅を拡げている。また近年、都市のビル群や生物の造型など、ミニマムな作風を生かしたクールな印象の作品も数多く手がけるようになっている。

 最新作の「Walking in New York」やLEDによって動きも加えられた「Running」などの作品では、匿名化した集合体によって現代に生きる人々の生態が浮き彫りにされているように見える。彼の興味は匿名の集合体が醸し出すある種の普遍性へと移行しているのかもしれない。

 そして今回、あの広いオペラシティアートギャラリーでどのような展示がなされるのかも興味深い。さしずめ「Walking in Julian Opie's」のような不思議な感覚を愉しめるのでは。ジュリアン・オピーのユニークな世界を散策してみてはいかが。

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『ジュリアン・オピー』

7月10日〜9月23日、東京オペラシティ アートギャラリーで開催。11時〜19時(金・土〜20時)。月曜休(祝日の場合は翌火曜休)、8月4日休。写真右上から時計回りに/「Walking in New York 1」2019、「Telephone」2018、「R
unning 1」2018、「Towers 1」2018。

ウェブサイト

text/
Kaz Yuzawa

本記事は雑誌BRUTUS896号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は896号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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新・珍奇植物(2019.07.01発行)

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