時喰み / 日本酒◎酒場コメカラ

グルマン温故知新

No. 895(2019.06.14発行)
名古屋の正解

深夜メシをアップデート。終電後も旨い料理と酒をもっと。

リーマンショック以降、長いこと営業時間が短縮傾向だった東京の食シーンだが、このところ深夜営業の店が相次いでオープン。和食とワインを謳う東銀座の一軒と、日本酒に強い学芸大学の一軒。どちらも人気の名店がらみ。令和の深夜メシはこれにて安泰!

時喰み(東銀座)

しっかり食べて飲める、真っ当な和食を深夜まで。

 こちらは東銀座にある日本料理〈徳うち山〉〈銀座くどう〉の系列店。2店を率いる工藤淳也さん、「このあたりで遅くまで営業している店はフレンチやバルが多く、年齢的にきつくて。居酒屋ではなく、でも格式張っていない真っ当な和食を」と自分が行きたい店をオープンした。

 よってメニューはアラカルトのみ。旬魚や野菜はもとより、京鴨、庄内豚、カラスミやキャビアと使う食材は系列店と同様という太っ腹な姿勢。料理はひねりながらも、外しすぎず。〆のカレーも、オーダーが入ってからご飯を土鍋で炊く気概を見せる。生うにのっけ、サマートリュフのプラスといった「カスタマイズ」の遊び心もナイス!

 器遣いも多彩で、深夜の気分を俄然上げてくれる。待ち合わせや小腹満たし、あるいは2軒目にと何かと使い勝手もいい。店名は文字通り「時間を食べる」
の意。仕事や多忙な日常を忘れて、おいしいものを。終電の時間を気にせず、とことんどうぞ。

蔵王牛三角

焼物から。工藤さんの出身地でもある山形県産の蔵王牛。価格と品質のバランスがちょうど良く、食べ応えもあり。丁寧に串を打って、シンプルに焼き上げる。塩、醤油、わさび、ユズコショウとお好みで。このほか、赤身はフライにしてビフカツに、鍋ならサーロインを薄切りで、とメニューも多彩。2,600円。

フォアグラ最中

冷菜より。西京漬にしたフォアグラにたくあんの燻製、山形県を代表する名菓のし梅を合わせてさっぱりと。フォアグラの濃厚な味わいが楽しめ、後味もキレがいい。ワインと合わせたい。1個700円、2個1,200円。

炊きたて白米の海老出汁カレー

甘エビ、ボタンエビ、伊勢エビの殻で取ったエビだしとトマト、日本酒で仕上げるカレー。バター不使用であっさりとしながら、味は旨味の塊。オーダーごとに炊くご飯は「つや姫」。1,800円。特大海老フライ1本1,200円。

日本酒◎酒場コメカラ(学芸大学)

手の込んだおばんざいに、〆カレーまで酒を!

 腕の立つ弟子を多数輩出するおでん屋〈件〉。開店15年目にして初の姉妹店をオープンした。

 新店はスタイルをガラッと変えて、会社帰りの地元住民や女性の1人客がふらりと入れる仕様に。小皿のおばんざいを中心に刺身、珍味、洋のアレンジを効かせた一品料理でもてなす。

 日本酒の品揃えも負けていない。ここでしか飲めない「コメカラスペシャル」をはじめ、十四代や王祿「丈径」といった特別な銘柄も、抜群のコストパフォーマンスで提供する心意気。

「〈件〉ではおでんのだしを引き立てるような日本酒を取り揃えていますが、こちらの店ではフルーティな香りが楽しめる銘柄を中心にしています」と語る、ともぞう(通称)店長。

 店内はカウンターを生かしたカジュアルな造りで、ウェイティングや2軒目使いにも打ってつけ。独立開業を控えた若手のための総仕上げの場にもなっているらしい。やる気と程よい緊張感が、また心地いいんです。

自家製鶏ハム、日本一の生キクラゲ辛子醤油、ホタルイカとブロッコリーの酢味噌。大山地鶏のハムは低温で火入れし、自家製マーマレードと。宮城県産キクラゲは肉厚でリピーター続出。ホタルイカは甘辛いタレで炊き、肝も濃厚。内容は季節に応じて変更あり。1品540円、3品1,290円。

蟹クリームコロッケ

「和食屋らしく」と、ホワイトソースに味噌を加えて軽やかな仕上げに。ソースは使わずに、そのまま味わいたい。日本酒を合わせるなら、香りと酸が程よい〈コメカラ〉スペシャル純米吟醸「残草蓬莱」を。2個750円。

コメカラ特製〆のカレーライス

鶏ハムを作る際のスープをベースに、継ぎ足しては寝かせて作るカレー。スパイスは控えめだが、旨味はたっぷり。日本酒のつまみにもなる。トッピングはチーズとカニクリーム。大、中、小とサイズが選べる。中810円。

時喰み

電話:03・6264・2809
営業時間:17時30分〜翌3時LO(土23時LO)。
酒:生ビール800円、日本酒700円、ワイン800円〜(以上すべてグラス)。
価格:冷菜・温菜800円〜、造里1,200円〜、焼物800円〜、揚物1,000円〜。
席数 :カウンター5席、テーブル2卓6席。

東京都中央区銀座3−11−6 鈴木ビル2F右手側。日曜・祝日休。交通:東京メトロ・都営地下鉄東銀座駅から徒歩2分。2019年4月8日オープン。テーブルチャージ22時まで600円、22時以降1,000円。お決まりで名物「焼胡麻豆腐」を提供。メニューはアラカルトのみ。料理は2名で食べきれるボリューム。席数が少ないため、混雑時は2時間〜2時間半の時間制限あり。お冷のみの利用はご遠慮を。

日本酒◎酒場コメカラ

電話:03・3760・5557
営業時間:18時〜翌1時LO。
酒:生ビール500円、ハイボール500円、日本酒500円〜、焼酎600円〜。
価格:珍味400円〜、お刺身各750円、盛1,500円、旬魚の南蛮漬け1品500円。
席数 :カウンター8席、テーブル3卓6席。

東京都目黒区鷹番3−7−4 第3鈴やビル1F。日曜休。交通:東急東横線学芸大学駅から徒歩1分。2019年2月22日オープン。お通し400円。メニューはアラカルトのみ。主力の日本酒は同店限定という「コメカラスペシャル」を含め、常時50〜60種を揃える。店名の由来は米から日本酒が生まれ、日本酒から出会いが生まれ、日本酒と人との繋がりが生まれる場所であるように、との思いから。

文/粂 /
真美子
photo/
Keiko Nakajima

本記事は雑誌BRUTUS895号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は895号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.895
名古屋の正解(2019.06.14発行)

関連記事