書籍・読書

新しい作品との出会い方と、翻訳者としての目標も。

本を作る人。

No. 895(2019.06.14発行)
名古屋の正解

翻訳者 原 正人 (第4回/全4回)

フランス語圏の漫画=バンド・デシネと、さらには世界中で描かれているグラフィックノベルの裾野を広げるために。新しい作品を日々探し、日々翻訳する原正人さんの仕事論。

バンド・デシネ(BD)の翻訳について、出版社に企画を持ち込まれることも多いと思うのですが、未訳の作品はどうやって探されるんですか?
原正人 
アングレーム国際漫画祭など賞のノミネート作品は参考にしますね。BD情報を発信するウェブジャーナル「izneo」などフランスの電子コミックストアも頻繁にチェックして、試し読みしたりジャケ買いしたりもします。BDって紙の雑誌連載というのはほぼなく、大半が描き下ろし単行本なのですが、ウェブ発信が豊富なので新しい情報に触れやすいんですよ。
BDに限ると翻訳ペースはどれくらいなんでしょうか?
原 
この10年でBDを70冊ほど訳しました。可能なら月に1冊ペースか、もっとたくさん出していきたいんですけどね。BDに限らずグラフィックノベルなど世界の漫画の認知をもっともっと広げたいので、文芸やアート寄りのもの、実験的なもの、軽い読み口のものなど、いろいろなタイプの作品を訳すことに意味があると考えています。日本全体で考えても、この10年間でBDの刊行点数は大幅に増えています。
『見えない違い−私はアスペルガー』や『ナタンと呼んで−少女の身体で生まれた少年』など、新しい視座を与えてくれるような作品も手がけられていますが、今後訳したいものは?
原 
シリル・ペドロサ『PORTUGAL』かな。ポルトガルからの移民二世の自己実現を描いていて、BDならではのカラーリングも美しい。いつか訳せたらいいですね。(了)

はら・まさと

1974年生まれ。フランス語圏の漫画を中心に翻訳、紹介する。最近手がけた翻訳書に『年上のひと』『ストリートアートで楽しむパリ  バンクシーからル・ムーヴマンまで』。

写真/
角戸菜摘 
文/
鳥澤 光

本記事は雑誌BRUTUS895号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は895号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.895
名古屋の正解(2019.06.14発行)

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