mille / Lagueuledebois

グルマン温故知新

No. 894(2019.06.01発行)
愛と欲のスニーカー

レストランクオリティの料理と自然派ワインを酒場感覚で。

フランス修業経験のあるシェフの料理はレストランレベルで、価格設定はデイリーユース。カフェやワイン酒場から広がりを見せたナチュラルワインシーンで、ビストロノミーが勢力拡大中。使い方は自由、食べて飲んで1万円でお釣りが来る良心の店が東京の西と東に。

mille(東日本橋)

選べるアミューズに表れるホスピタリティ。 

 町場の実力店や都心の高級店で修業し、フランスでも星付きで働いた千葉稔生さん。2011年の帰国時、東京を席捲していたナチュラルワインブームの洗礼を受け自身の方向性が定まった。繁盛ワイン酒場でシェフを経験し、ガストロ育ちの料理とナチュラルワインを居酒屋感覚で楽しませる店をオープン。黒板に4、5品並ぶアミューズ・ブーシュが挨拶代わり。ビジュアルよし、塩加減よしの一品に、気分がアガり、ワインも進む。

 どの皿もシェアOKだが、取り分けは店側で。一人客のハーフポーションはジャスト半額という太っ腹ぶり。とにかく気軽に、でも素材の組み合わせやソースで完成するフレンチの醍醐味をちゃんと味わってほしいからだ。川崎大師の別院・薬研堀不動院そば、六差路に面した物件は“気の流れの良さ”で即決。洋風建築の古いマンションの1階、モダンにしつらえた店から漏れる明かりが、下町の景色の新たな彩りになりつつある。

石黒農場のホロホロ鳥のカツレツ

岩手県〈石黒農場〉は、国産ホロホロ鳥のトップ生産者。上質なホロホロ鳥特有の弾力と香りがある。胸肉は香ばしいカツレツに、モモ肉は皮がパリッとしたローストに。凝縮感のあるホロホロ鳥のジュ(肉汁)とマッシュルームのクリームソース、緑が鮮やかな季節の野菜を添えて。2人分(写真)2,963円。

初カツオのコンフィとタブレ

低温で表面にだけ軽く火を入れたカツオを、ハーブが香るタブレ(クスクスのサラダ)とともに。パプリカのビネグレットのオレンジ色が鮮やか。フレッシュハーブの香りも食欲をそそる。741円(ハーフポーション)。

アミューズ

写真上から時計回りに、タマネギとベーコンのファーブルトン・サレ231円、新タマネギのヴァヴァロワ324円、トマトのエクレア185円。塩気、酸味、コクと味にメリハリがありワインのお供に最適。注文は1個から。

Lagueuledebois(中目黒)

メインはがっつり肉、酒場使いは深夜2時まで。

 長く洋食業態で働きながら「ワインが苦手だった」という布山純志さん。が、ニースの修業先でのヴァン・ナチュールとの出会いが転機に。飲み心地のよさと創作的な料理と合わせた提案に魅了された。帰国後、銀座〈レストラン イシダ〉を営むベテラン、石田淳一シェフの下で地固めをし独立。「日本ビストロノミーはレストラン寄り。料理はきっちり、もっと自由にいきたい」と、ポップミュージックをBGMに、中目黒の裏路地に深夜まで明かりを灯す。

 旬魚のカルパッチョやベニエなど1,000円前後の前菜を多く揃え、ワインバー使いもどうぞ、というスタンス。どの皿も酸味使いが巧みで、ワインと好相性だ。メインの推しは滋賀〈木下牧場〉産の近江牛。自身も滋賀県出身、加えて同牧場の木下尭弘さんのような若く熱意ある生産者と一緒に、何かを発信する店にしていきたいから。自由度同様、志も高く。先達に続きシーンを盛り上げる気満々だ。

滋賀県木下牧場産近江牛のロースト

家族経営で格付けにとらわれない健康な牛を育てる〈木下牧場〉の近江牛は、近年、人気急上昇中。濃厚な赤身の旨味が特徴だ。オーブンで優しく火を入れてから周りを香ばしく焼いて仕上げ、ジャガイモのピュレ、高知産甘長ピーマン「よさこいハニー」など野菜もたっぷり添えて。2人分(写真)3,500円。

真鱈のベニエ 自家製ビーツのマヨネーズ

ベニエの衣に竹炭を、マヨネーズにビーツジュースを加えて、ドキッとするほどビビッドな配色の一皿に。さくっと衣が香ばしく、マヨネーズの甘酸っぱいアクセントでワインが進む味に。700円(ハーフポーション)。

真鯛の蒸し焼き イカ墨のリゾット 春菊のソース

身はふっくら、皮はパリッと仕上げた真鯛のポワレ。日本米で作るチーズ不使用のイカ墨リゾットは優しい味わいで、鯛のだしと春菊の淡い旨味とほろ苦さを併せ持つソースともぴったり。1,200円(ハーフポーション)。

カテゴリの記事をもっと読む

mille
電話:03・5829・8138
営業時間:18時~23時LO。
酒:クラフトビール(小瓶)741円~、グラスワイン約7種741円~。
価格:アラカルト中心。前菜約7種833円~、メイン約5種2,593円~。
席数 :カウンター8席、テーブル2卓4席。

東京都中央区日本橋2−8−1 ケインズ東日本橋1F。日曜休。交通:都営浅草線東日本橋駅から徒歩2分。2019年4月10日オープン。ビールは国産クラフトを2~3種。食後酒も幅広く揃う。グラス1,111円~。アミューズ・ブーシュは、深夜のワインバー使いの際のおつまみにも。コースは4,630円~応相談。〈ビーバーブレッド〉のパン370円、〈VIA THE
BIO〉のチーズ1品741円~も用意。

Lagueuledebois
電話:03・6884・4630
営業時間:18時~翌1時LO。
酒:クラフトビール(小瓶)900円~、グラスワイン約6種800円~。
価格:アラカルト中心。前菜約12品800円~、メイン約5品2,100円~。
席数 :カウンター10席、テーブル2卓7席。

東京都目黒区東山1−8−6。日曜休(翌月曜が祝日の場合は営業、翌月曜休)。交通:東京メトロ中目黒駅から徒歩7分。2018年11月28日オープン。テーブルチャージ500円(突き出し、パン代込み)。1人のゲストにはハーフポーションも対応(メニュー表示価格の半額プラス100円)。おまかせコース5品5,000円も当日オーダー可。クラフトビールフランス産を中心に4~5種類とこだわりのセレクト。

photo/
Naoki Tani
文/
佐々木ケイ

本記事は雑誌BRUTUS894号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は894号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.894
愛と欲のスニーカー(2019.06.01発行)

関連記事