写真

UKロックの最盛期を撮ったトシ矢嶋が写真展を開催。

BRUTUSCOPE

No. 894(2019.06.01発行)
愛と欲のスニーカー
80年代のシャーデー。現在ではめったにメディアへ露出することのない彼女を撮影した貴重な一枚。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』好きなら必見のフレディ・マーキュリーとブライアン・メイ。
反体制のメッセージは、パンクスたちも魅了したボブ・マーレー。リラックスした笑顔がかわいい。

フレディ・マーキュリーからセックス・ピストルズまで。伝説たちの素顔とは。

 クイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』の魅力の一つに、1970年~80年代イギリスのロック産業を描いた点にある。癖と欲だらけの業界人の渦巻く、ダーティでダイナミックなビジネスの現場。そんな荒波の中を、名もなきバンドが音楽とハッタリで駆け上り、スターダムへとのし上がっていくのだから、やはり痛快だ。

 ところ変わって、68年の東京青山。深夜スーパー〈ユアーズ〉で働いていた音楽好きの青年が加藤和彦氏と出会い、勧められてロンドンへ渡る。プロデューサーのクリス・トーマスに紹介され、とある合宿場を訪ねてみるとセックス・ピストルズがリハーサル中。ライブハウスでは、クラッシュが客と乱闘騒ぎ。パンクが爆発する直前のシーン、さらに絶頂期のクイーンやデヴィッド・ボウイのパフォーマンスを目撃し、いつしか青年は写真を撮るようになる。その青年こそ、後に日本イギリスのシーンの懸け橋となるトシ矢嶋だ。

 75年から90年代まで、トシ矢嶋がイギリスで撮影した作品を集めた写真展が開催される。パンクが爆発する瞬間や、ジャマイカから渡英したボブ・マーレー、渡英時の加藤和彦とミカ、再婚時の安井かずみ、YMOの面々など。トシ矢嶋の写真の魅力は、バンドやコミュニティの中に入り込んだ、被写体と距離だ。ポール・マッカートニーやフレディ・マーキュリーなど、ほとんど友達でも撮るような距離で撮影されている。どうやってこんなレジェンドたちと親しくなれたのだろうか。会期中のトークショーで明かされるかもしれない。

『トシ矢嶋 写真展』

6月29日~8月9日、青山CAY(東京都港区南青山5−6−23 スパイラルB1)で開催。11時30分~24時のレストラン営業。無休。貸し切りなどがあるため、オープン日時の詳細は公式HPへ。6月29日の会期初日には小山田圭吾を迎えたトークショーも。https://www.spiral.co.jp/shoplist/cay

トシ矢嶋

トシ・やじま/1950年東京都生まれ。75年に渡英しライター、フォトグラファーとして活動。ライブやポートレート、シャーデー『プロミス』(85年)のジャケット写真などを撮影したことでも知られる。また、今回の写真展に合わせ、7月9日に初の写真集(リットーミュージック/3,500円)
の発売が決定。会場では会期初日から先行発売。

text/
Mami Hidaka

本記事は雑誌BRUTUS894号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は894号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.894
愛と欲のスニーカー(2019.06.01発行)

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