新鮮な海の幸。

東京イタリアンガイド

No. 893(2019.05.15発行)
新・日本のイタリアン。

海に囲まれた日本で、魚介イタリアンを食べないなんてもったいない! 各地の食材を生かした魅力的な料理の数々をご堪能あれ。

Ilprofumo/人形町

サヨリとアーティチョークのリゾットは、5月のディナーコースの一品として登場。

小田原の朝獲れ魚介に2人のシェフが魂を込める。

オーナーは日本イタリア両方のソムリエ資格を持つ淵本聖一さん。シェフはトスカーナの〈ダ・カイーノ〉などで修業した天野智詞さん、〈カノビアーノ〉などで研鑽を積んだ永原武史さんの2人。その強力な布陣により、創造性豊かな料理とワインを堪能できる店。魚介は小田原直送の朝獲れものが中心で、ワインは約300種を用意。「ワインのペアリングコースも3種類3,780円から用意しているので、料理とともに楽しんで」と淵本さん。

Tsukiji Paradiso!/築地

本日仕入れた貝類とチェリートマトのペスカトーレ風リングイネ2,808円。人気の一品。

築地イタリアンの元祖、魚河岸移転後も人気は変わらず!

2011年のオープン当初、築地場外で唯一のイタリア料理店だったが、あっという間に予約困難な店へ。魚河岸が豊洲移転後も賑わいは変わらず。看板メニューの貝類のリングイネは、当日仕入れたアサリ、シジミ、ムール貝、ハマグリなど8~9種の貝類がてんこ盛りの豪快な一品だ。「貝類を煮込むことで旨味をしっかり引き出すのがポイント」と山田慶介シェフ。ナポリから取り寄せたもっちりパスタに魚介の旨味がよく絡む。

LA BOTTEGA DEL MARE/東銀座

富山県産ゲンゲのカツレツ タルタルソース1,164円。深海魚ゲンゲはコラーゲン豊富!

天然の生け簀、富山湾の魚で、日本酒とのペアリングを。

トスカーナなどで修業を重ね、東銀座で2軒のイタリア料理店を営むオーナーの青池隆明さんが、故郷・富山の魚介をメインにした店。「立山連峰から一気に深海になる富山湾の独特な地形によって魚種が豊富。ただし漁獲量が少なく、首都圏にはなかなか届かない」とのこと。週2回、富山・新湊漁港から直送してもらっているため、幻の魚ゲンゲといった珍しいものも、ここでなら味わえる。イタリアンながら富山の地酒の品揃えは都内随一で、日本酒好きもよく訪れるという。

RISTORANTE OTTO/銀座

ランチコースから、桜鯛のヴァポーレ ハマグリと菜の花のソース。緑が鮮やかで季節感あり。

アドリア海の気候に似た、愛媛・八幡浜の魚介を直送。

四国一の魚種を誇る愛媛県の八幡浜港。港に程近く、八幡浜の魚介が味わえる人気店〈リストランテ アマルフィ〉で4年間料理長を務めた篠永裕貴さんが、今はこの姉妹店で腕を振るう。魚介はもちろん八幡浜港直送の、鮮度が保たれた放血神経締めのものを使用。コースのメインでは、魚を選ぶ人が圧倒的に多いという。八幡浜の魚介の旨さと篠永さんが創り出す、アーティスティックな料理のファンは東京でも着実に増えている。

Osteria da K.[kàppa]/銀座

魚介と鶏ひき肉のサルシッチャ1,512円。ナイフを入れると魚介エキスが溢れ出す。

3ツ星鮨店から誕生。和の視点で学んだ魚の知識。

シチリア修業から戻った直後、礒貝勝成シェフが働き始めたのはミシュラン3ツ星店の〈鮨よしたけ〉。「共通のお客さんのご紹介で、運命的な出会いでした!」と礒貝さん。和の視点から魚介の扱いや目利きをじっくり学び、料理の幅が広がった。魚介は〈鮨よしたけ〉の仕入れ先から。寿司では使わない部位も生かし、イタリア料理に仕上げる。金目鯛やノドグロなど旬の魚介を使った魚介と鶏ひき肉のサルシッチャはアワビもたっぷりで、まさに豪華すぎる魚肉ソーセージ!

Roccia d’oro 神楽坂/飯田橋

ビアンコネーロ 親父の白イカの冷製パスタ2,052円。6月頃からコース料理にも登場する。

父は一本釣りの漁師。知られざる島根イタリアン。

山陰屈指の港町、島根・浜田の漁師を父に持つ金川琢磨シェフ。「島根はノドグロやカレイなどの高品質の魚が獲れるのに情報発信が苦手。だから料理を通してその価値を広めたい」。そんな金川さん自慢の一品は、父が一本釣りし、鮮度保持のために急速冷凍で直送される白イカを使った料理。肉厚になり甘味も増す最盛期の夏が特におすすめ。

PESCHERIA LA LUNA ROSSA/赤坂見附

ティエッラ4,800円。この日は銚子直送の桜鯛を使用。ふっくらと軟らかい仕上がり。

港町直送の魚を選び、客の好みにカスタマイズ。

魚屋を意味する“ペスケリア”という名の通り、魚尽くしの店。プーリアやピエモンテのトラットリアで修業した嶌田龍介シェフが銚子、函館、小田原直送の魚介を客の好みや要望に合わせて調理する。おすすめはプーリア名物「ティエッラ」。魚のラグーで味つけした米やジャガイモに貝のだし汁を吸わせ、旬の鮮魚やムール貝と蒸し焼きにしてからオーブンで仕上げた一品。マグロの内臓を使ったトリッパやマグロ頰肉のラグーソースのパスタなど、魚専門店ならではのメニューも充実。

MarechiAro /乃木坂

コースから、海のスープ。ニンニク、唐辛子入りオリーブ油やグラナ・パダーノで味変も。

コースに欠かせない一品は、魚介の旨味凝縮スープ。

夫婦2人で10年続けた店を改名し、2年前に魚介イタリアンに一新。「納得できる魚介のスープがなかった」という日髙雅史シェフが試行錯誤の末に完成させたのが全コースで提供される「海のスープ」。魚介類を骨や殻ごと野菜やハーブなどと一緒に煮込んですり潰し、裏ごししてようやく完成。「今ならサクラダイ、タチウオ、サワラなど8~9種の魚を使います。見た目は同じでも素材によって風味は千差万別。夏はあっさりめにするなど微調整します」と日髙さん。主に五島列島から仕入れる魚介尽くしのコースが堪能できる。

arcadia/広尾

泡に合うアミューズ盛り合わせ 春の海岸風2,160円。基本は2人前(写真はハーフ)。

恵比寿〈アルマ〉で腕を振るった藤田正美シェフが今年4月に独立開業。故郷・津軽の豊かな魚介と野菜を使い、ワインに合う料理を繰り出す。中でも注目すべきは、泡に合うアミューズ盛り合わせ。いわば挨拶代わりの一品だ。漁港直送の旬の魚介をマリネやフリット、ソテーなどで多彩にアレンジ。「黒い石に見えるのは実は青海苔のクルトン。海岸で宝物を探すような遊び心を出したくて」と藤田さん。料理は半額+100円でハーフサイズもオーダーできる。ワインは約100種を用意。

Trattoria alla BANDERUOLA/恵比寿

クスクス トラーパニ風魚介のトマト煮込み2,100円にホウボウ200g1,800円を追加。

常時10種以上のクスクスは、シチリアの名物料理。

オーナーの松下文勝さんがオープン時に看板メニューにしようと決めたのが、西田昌弘シェフの故郷、大分・豊後水道の魚介を使った料理。中でも人気はクスクス トラーパニ風魚介のトマト煮込み。アサリ、ムール貝、手長エビなどのだし汁を手打ちのクスクスに染み込ませた一品で、旬の魚介をトッピングできる。アラなどで煮出した別添えスープをかけると旨さ倍増! 西田さんの祖父は元漁師。その繋がりを生かして、朝獲れの魚を直送。魚種の豊富さと新鮮さは折り紙付き。

S/恵比寿

コースから、甘エビとウイキョウなど野菜やハーブを組み合わせた鮮魚のカルパッチョ。

漁港に何度も通い、漁師と築いた信頼関係

千駄ヶ谷〈マンジャペッシェ〉で8年間料理長を務めた清水明完シェフが姉妹店をオープン。長崎・五島列島など各地の漁師や魚卸から直送される放血神経締めの魚介を使う。「漁
師や魚自体が減る一方、活魚の脳神経を破壊して血抜きし、鮮度を保つという高度な技術を駆使し、魚一本一本の価値を高める生産者を応援したい」と清水さん。コース内容は月替わりだが、鮮魚のカルパッチョは不動のスペシャリテ。新鮮なまま氷温熟成して旨味を増した魚介と旬の野菜の多彩な味を楽しめる。

Bogamari Cucina Marinara/北参道

イシダイとウチワエビの炭火焼き  サルモリッリオソース6,540円は2~3人でどうぞ。

メニューはなし!魚と食べ方は自分で決める。

イタリアに魚介専門の店があって、東京にないのは不思議。日本の水産資源はこんなにも豊かなのに!」と、店をオープンしたディレクターの布上智範さん。メニューはなく、ショーケースに並ぶ魚介類から自分で選び、調理方法も相談して決める。産地は三重・答志島、若狭、瀬戸内など全国各地のものがずらり。この日のおすすめは三重・答志島のイシダイと山口のウチワエビ。豪快に炭火でグリルした一皿には、鮮度の良さに裏打ちされたおいしさが詰まっている。

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Il profumo/人形町

東京都中央区日本橋人形町2−33−4☎03・6231・0815。11時30分~13時30分LO、18時~21時LO。日曜・第1・3月曜休。20席。基本的にコースのみでランチ2,376円~、ディナー7,128円~。21時~ワインバー利用も可。

Tsukiji Paradiso!/築地

東京都中央区築地6−27−3☎03・3545・5550。11時~14時LO、18時~22時LO(土・日・祝17時30分~21時LO)。水曜休。ランチ980円~、ディナーはアラカルト。31席。(コ)夜は432円。予約は2ヵ月先まで受け付け。

LA BOTTEGA DEL MARE/東銀座

東京都中央区銀座3−11−7 鶴見ビル1・2F☎03・6264・7874。17時30分~23時30分LO(土・祝16時30分~22時LO)。日曜・祝日の月曜休。38席。324円

RISTORANTE OTTO/銀座

東京都中央区銀座3−3−6☎03・6263・0708。12時~13時30分LO、17時30分~20時30分LO。日曜・第1・第3月曜休。24席。ランチコース3,240円~、ディナーコース8,640円~。(サ)10%。コースは1ヵ月ごとに替わる。

Osteria da K.[kàppa]/銀座

濃厚な白濁スープが特徴のアクアパッツァも人気。●東京都中央区銀座8−7−2 藤井ビル2 5F☎03・6274・6620。18時~23時LO(土17時~21時LO)。日曜・祝日休。18席。(コ)540円。

Roccia d’oro 神楽坂/飯田橋

東京都新宿区神楽坂3−6 サムライ堂ビル3F☎03・5206・5854。11時30分~14時LO(土・日・祝14時30分LO)、18時~21時30分LO(土・日・祝17時~20時30分LO)。月曜休(祝日の場合は翌火曜休)。ランチ1,836円〜(平日は1,000円~)、ディナーコース5,940円~。アラカルトもあり。(サ)夜は10%。

PESCHERIA LA LUNA ROSSA/赤坂見附

東京都港区赤坂4−4−16 1F☎03・6807・2660。11時30分~14時LO(土・日・祝14時30分LO)、18時~22時LO。日曜休。26席。ランチ1,000円~。(コ)夜は500円。

MarechiAro /乃木坂

東京都港区西麻布2−24−9☎03・3486・6310。18時~21時LO。日曜休。24席。要予約。ディナーコース9,180円~。(サ)10%。

arcadia/広尾

東京都渋谷区広尾5−9−27 広尾木下第二ビル1F☎03・6456・4376。17時~23時LO(土・日・祝16時~23時LO)。月曜休。12席。アラカルトのみ。(コ)540円。

Trattoria alla BANDERUOLA/恵比寿

東京都渋谷区恵比寿南2−7−5☎03・6712・2377。11時30分~14時LO(土・祝12時~)、18時~22時LO。日曜休。37席。ランチ1,000円~、ディナーはアラカルト。(コ)夜は400円。

S/恵比寿

東京都渋谷区恵比寿南2−4−19☎03・6412・7130。11時30分~13時30分LO、18時~21時LO。水曜・日曜休。14席。ランチ3,800円~、ディナーコース8,640円~。

Bogamari Cucina Marinara/北参道

東京都渋谷区千駄ヶ谷4−7−5☎03・6721・1858。11時30分~14時LO、18時~22時LO。日曜休。44席。ランチ1,000円~、ディナーはアラカルト。(コ)夜は500円。

photo/
Chihiro Oshima, Hisashi Okamoto, Hiromi Kurokawa, Kanako Nakamura, Kaori Ouchi, Kayoko Aoki, Michi Murakami, Natsumi Kakuto, Shin-ichi Yokoyama, Yoichiro Kikuchi, Yoko Tajiri, Yuko Moriyama
edit&text/
Mutsumi Hidaka
text/
Akiko Yoshikawa

本記事は雑誌BRUTUS893号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は893号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.893
新・日本のイタリアン。(2019.05.15発行)

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