中央・総武線沿線で、スパイスめぐり。
オレンジや黄色のラインが、スパイシーなカレーを想起させるJR中央・総武線沿線はスパイス料理の名店の宝庫。スパイス使いが巧みな野菜メニューやインドカレーを味わうなら中野、中華とイタリアンをベースにした料理と多彩なお酒を楽しむなら西荻窪!
SPICE飯店
●西荻窪
ジャンルフリーなスパイス料理と、燗酒を。
店名に“飯店”とあると「中華料理店?」と思ってしまうが、こちらはチャイニーズっぽいメニューもあれば、カレーもあればピッツァもあり。それらに共通するのは、いずれもスパイス使いが印象的、ということだ。
店主の岡本大佑さんは、代々木八幡の燗酒酒場〈酒坊主〉で、オリジナリティがあって日本酒やクラフトビールと合う酒肴を学んだ。学芸大学〈レインカラー〉ではイタリアンの経験も積み、今年独立を果たした。
店のテーマをスパイスにしたのは「いろいろ調合してカレーを作るのが大好きだし、他ジャンルの料理でも、スパイスによってガラリと印象が変わるのに探究心が刺激されたから」。
加えてユニークなのが燗酒と楽しむことを提唱している点。「スパイスの香りや味を際立たせ、受け止める」と、お燗に向くしっかりとしたタイプの日本酒を30種類前後揃える。
爽やかな香りのスパイス料理をアテに、お一つどうぞ。
roji spice&_____.
●中野
スパイス+α、の提案が楽しいお店。
中野駅南口の目の前、〈中野マルイ〉の脇にある「レンガ坂」は、飲食店が立ち並び、賑わいのある通り。その裏手にある路地に、ひっそりと立つ古民家がこの春、スパイス料理が楽しめる店へと生まれ変わった。その名も〈roji spice&_____.〉。
「以前から飲食業に興味があった」というオーナー蟻塚純さんが、かつて自身も住んでいた築50年超の実家を改装。同じ中野育ちで、古くからの友人の岸田禎之さんをシェフに迎えた。
岸田さんは様々な業種で経験を積んだのち、押上の人気店〈SPICE Cafe〉で、カレーをはじめとするスパイス料理を学んだ。「中野にまだ少ない、スパイスをフィーチャーした店を作りたい」という蟻塚さんの考えと、岸田さんのキャリアが合致。
合わせる素材によって香りの立たせ方を細やかに変える料理は、味わいは優しく香りは豊か。
人目につきづらい路地裏だからこそ「わざわざ目指して来てもらえる店に」と意欲的だ。
SPICE飯店
03・4400・7785
18時〜24時(土15時〜、日15時〜22時)。
ビール580円〜。日本酒600円〜。グラスワイン600円〜。
前菜類500円〜。カリー830円〜。ピッツァ800円。チーズ650円。
カウンター5席。テーブル1卓4名。スタンディングは2名分。
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●東京都杉並区西荻南2−19−5 1F。火曜休、不定休(Instagramで告知)。交通:JR西荻窪駅から徒歩5分。2019年2
月にオープン。お店は、「ナチュラルワインの奥深さや、料理との合わせ方に気づかせてもらった」というビストロ〈O
rgan〉の、奇しくも目と鼻の先に。ドリンクは燗酒のほか、にごり酒ソーダ割りやクラフトビール、アンフォラ仕込みのナチュラルワインもラインナップ。
roji spice&_____.
03・6454・1703
18時〜23時フードLO。ドリンクは23時30分LO。
ビール410円〜。グラスワイン540円〜。ボトルワイン4,212円〜。
前菜810円〜。魚・肉料理756円〜。カレー972円〜。
テーブル7卓18席。キャッシュオンスペースは10名相当。
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●東京都中野区中野3−35−1。日曜休。交通:JR中野駅から徒歩3分。2019年3月にオープン。店名の「_____.」は、そこにどんな食材名を入れてもスパイスとの組み合わせは成立する、という思いから。静かなテーブル席と気軽なキャッシュオンスペースがありTPOで使い分けられる。キャッシュオンのメニューは、おつまみ200円〜、ミニサイズのカレー450円など。ドリンクはテーブル席と共通。
- 文/
- 小石原はるか
- photo/
- Yoichiro Kikuchi
本記事は雑誌BRUTUS893号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は893号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。