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バンド・デシネの裾野をもっともっと広げたい。

本を作る人。

No. 893(2019.05.15発行)
新・日本のイタリアン。

翻訳者 原 正人 (第2回/全4回)

翻訳者デビューから単行本2作目にして、ヒット作『アンカル』を手がけた原正人さん。仕事の広げ方、売り込み方、さらには、作品の翻訳そのものよりも重要だという役割について。

70点近くのバンド・デシネ(BD)を翻訳されていますが、最初の単行本はなんですか?
原正人 
1冊目はニコラ・ド・クレシー『天空のビバンドム』、次がアレハンドロ・ホドロフスキー&メビウス『アンカル』です。翌年にはブノワ・ペータース&フランソワ・スクイテン『闇の国々』シリーズの刊行も始まりました。キャリアの最初期にこういう作品を訳せたことはとてもありがたかったです。
出版社との繋がりはどうやって増やされたんですか?
原 
雑誌『ユーロマンガ』で新刊紹介を担当することになり、いろいろな出版社に連絡する機会が増えてきた。そこで、僕の翻訳作品も見てください と言える図々しさを、段々と身につけていきました(笑)。
依頼を待つだけでなく、売り込みもされたんですね。
原 
はい、単行本や書いた記事はそのまま実績になりますから。フリーランスの翻訳者という立場から、この仕事を続けていくうえで一番重要なのは、訳すことではなく仕事を作ることだと思うようになりました。BDってすごくニッチなマーケットで、僕が手がけたなかでいえば、『アンカル』が最大のヒットで、たしか約1万7000部。それでも日本の漫画やアメコミのヒット作に比べると、そう多くはない数字です。だから僕の課題は、まずはBDや海外漫画に興味を持ってくれる人を増やすこと。そういう思いで『世界のマンガについてゆるーく考える会』という交流会や読書会を開いたり、作品ガイドや紹介記事を書いたりしています。(続く)

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はら・まさと

1974年生まれ。2008年に翻訳者のキャリアをスタート。〈世界のマンガについてゆるーく考える会〉代表、海外漫画の情報サイト「COMIC STREET」編集長を務める。

写真/
角戸菜摘
文/
鳥澤 光

本記事は雑誌BRUTUS893号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は893号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.893
新・日本のイタリアン。(2019.05.15発行)

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