エンターテインメント

"ハロオタ"の2人が企画・編集を手がけたアンジュルム12人の『アンジュルムック』。

BRUTUSCOPE

No. 893(2019.05.15発行)
新・日本のイタリアン。
校正紙と向き合う両氏。一枚ずつ丁寧に写真を確認していく。「いい写真がありすぎて、本当にこのセレクトでよかったのか、最後まで悩みが尽きません」(蒼井さん)
校正紙と向き合う両氏。一枚ずつ丁寧に写真を確認していく。「いい写真がありすぎて、本当にこのセレクトでよかったのか、最後まで悩みが尽きません」(蒼井さん)

アンジュルムのファンである蒼井優と菊池亜希子が、愛を込め、誠意を尽くした本気のアイドルブックを刊行する。

ハロー!プロジェクトが生んだアイドルグループ〈アンジュルム〉。以前よりファンであることを公言してきた蒼井優さんと菊池亜希子さんの2人が、彼女たちの魅力が詰まった本を制作。校了間際に、編集作業にかけた情熱を語ってもらった。

蒼井優 
そもそも初めは、私たちが一冊の本を作るという話ではなかったんです。「アンジュルムのムック本を作る予定があるから、中ページで何かしませんか?」くらいのお話だったのを、私が中途半端に関わるのはイヤだと思って、「まだ作っていないなら、一冊丸ごと自分に編集させてほしい」と言ったのがきっかけで。そう言いながら、もし実現するなら(菊池)あっこちゃんに声をかけようと心に決めていました。
菊池亜希子 
私も「やりたい」と即答して。
蒼井 
あっこちゃんはすでに何冊も自分の雑誌を作っているし、私たちが普段からお世話になっているフォトグラファーやスタイリスト、ヘアメイクの方々にもお願いできれば最高のチームで取り組むことができると思って。何より2人ともアンジュルムの本気のファンなので、2人で編集すれば良いものができると確信していました。
菊池 
もし私たちが作らなかったら、マニュアル通りのアイドル本として世に出てしまうかもしれない。アンジュルムの本は愛のある人が作らないと……という使命感が、私にも(蒼井)優ちゃんにもあったので。制作が始まってからも妥協はしませんでした。衣装のリサーチもリースも自分たちで行って、コーディネートはもちろん、優ちゃんは自宅で衣装の丈つめまでやってくれて。
蒼井 
自分たちでできることは何でもやったね。あっこちゃんにラフ描きはすべてお任せしたし。初めに2人で細かく内容を決め込んだので、校正紙と並べて見てみると、ほとんどがラフをそのまま再現したようなページになっていました。
菊池 
ラフとはいえ、それぞれのメンバーの特徴までしっかり描き込んでしまった(笑)。良い本を作りたいと思う編集長としての立場と、"オタ"として高ぶる気持ちの間で常に揺れていました。
蒼井 
どちらの視点も持っていることが、本のクオリティを保つうえでは良かった。これまでずっと応援してきたファンの方たちにも喜んでもらえて、彼女たちを初めて知る方たちにも興味を持ってもらえる本にしたいと思って作ったので。
菊池 
この仕事を機に、優ちゃんはパソコン作業にも強くなったよね。
蒼井 
実は高校生の時にパソコン部の部長で、しかも幽霊部員だったんです。「あの時もっと真面目にやっていればよかった」と何度思ったことか。とはいえ、写真のレタッチもしましたし、アンケートの集計や資料作りもお任せあれです(笑)。
菊池 
私たちは2人とものめり込むタイプ。"オタ"な人間がともに編集長を務めることで、突き詰めたもの作りができたし、「これは無理かも」という理由で諦めたりもしなかった。もちろん、もう一歩頑張ろうって一緒に取り組んでくれた12人のメンバーには感謝の言葉しかありません。
蒼井 
アンジュルムのメンバーは10代から20代前半の女の子。今しかない肌の輝きを写真に残したいけれど、少女を消費してはいけないという気持ちもあって、衣装を決める時もずっと心がせめぎ合っていました。私自身が10代から仕事をしてきていたので、思春期の女の子たちの気持ちがわかる分、何よりそれを一番に考えなくてはって。
菊池 
アイドルの本なので、女子目線だけで作ってもいけないし。どんなポーズなら下品にならず、可愛らしさも引き出せるのか、2人でポージングも研究しましたね。
蒼井 
撮影現場のあっこちゃんの演出が山田洋次監督みたいになってきて。
菊池 
大切な人たちに向けて、丁寧にイメージを伝えていただけなのですが(笑)。
蒼井 
台割作りにも力を入れました。ページをめくりながら「良い流れだ」って読者のみなさんに思っていただけるように緻密に考えて。
菊池 
メンバーそれぞれに、「自分のパートじゃなくてもいいから」と言って、自分たちの楽曲の中で好きな歌詞を答えてもらったり。メンバーのチャームポイントを語ってもらったり。彼女たちをよく知る人にとっては、涙なくしては見られないページもたくさんあるはず。すべてのページにおいて、語り主はアンジュルムのメンバーたち。だからこそ、読者の方がメンバーと対話しているような距離の近い本になっていると思います。
蒼井 
アンジュルムのメンバーはリーダーの和田彩花さん含めて12人いて、この6月にその和田さんが卒業するというタイミング。とても大切な時期の彼女たちとの仕事。かなり緊張しました。
菊池 
編集として全情熱をかけてページ作りをしながらも、現場では撮影に関わること以外、軽く話しかけたりはできませんでしたよね。
蒼井 
アイドルは"違う世界の人"なんです(笑)。
菊池 
優ちゃん、本が出たらどうする?
蒼井 
真面目に宣伝する。
菊池 
この本に関わってくれた人たちがアンジュルムを好きになってくれたことも嬉しかったね。
蒼井 嬉しかった。そういう幸せがいっぱい詰まった本なので、自分が死ぬ時は「アンジュルムックを棺桶に入れて」って頼むつもりです(笑)。

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『アンジュルムック』

蒼井優と菊池亜希子が編集長を務め、企画から衣装のコーディネート、撮影、原稿や写真チェックまで、編集作業すべてに携わったアイドルブック。〈アンジュルム〉の魅力と両編集長の愛が詰まった一冊。5月24日刊行。集英社/2,500円。

蒼井 優(右)
あおい・ゆう/1985年福岡県生まれ。女優。2018年は舞台『アンチゴーヌ』『スカイライト』の演技で、紀伊國屋演劇賞個人賞、読売演劇大賞最優秀女優賞、芸術選奨文部科学大臣賞新人賞を受賞。5月31日には映画『長いお別れ』が公開される。

菊池亜希子(左)
きくち・あきこ/1982年岐阜県生まれ。モデル、女優。雑誌『マッシュ』(小学館)の編集長を務めるなど、執筆の分野でも活躍する。著書に『好きよ、喫茶店』(マガジンハウス)。パーソナリティとして、TBSラジオ『Be Style』にも出演中。

ラップドレス48,000円(シー/エスストア☎03・6432・2358)、Tシャツ19,000円(ビューティフルピープル/ビューティフルピープル 銀座三越)、パンツ39,000円(エイトン/エイトン青山☎03・6427・6335)

photo/
Norio Kidera
styling/
Kaori Kawakami
hair&make/
Taeko Kusaba
text/
Naoko Yoshida

本記事は雑誌BRUTUS893号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は893号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.893
新・日本のイタリアン。(2019.05.15発行)

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