粉にこだわるピッツァとパスタ。

東京イタリアンガイド

No. 893(2019.05.15発行)
新・日本のイタリアン。

日本でも馴染みの深いイタリア料理の代表格。本場の味を再現した伝統的なスタイルから日本のテイストが加わったものまで百花繚乱。

L'ottocento (茅場町)

イカキモのラグー1,944円。肝も含めイカを丸ごと赤ワインで煮込んだソースが決め手。

浅草開化楼〉と共同開発した絶妙バランスの低加水パスタ。

シチリア修業時代、現地の生パスタの食感に感銘を受けたシェフの樋口敬洋さん。帰国後、自家製に挑戦するもなかなか再現できず、製麺会社〈浅草開化楼〉とタッグを組み、低加水パスタを開発。通常加水率40~50%で作るところ、約30%に抑えることで、樋口さんが求めていた歯切れの良さとモチモチ感が融合する麺が完成した。ディナーメニューの定番は、辛めのアラビアータ、黄色いイワシのソース、イカキモのラグーの3種類。

sisi煮干啖 (新日本橋)

にぼたん中850円。煮干しの生臭さは一切なく、ユズの上品な香りが良いアクセントに。

煮干したっぷりパスタ⁉未知との遭遇に思わず感動。

牛込柳町〈カルネヤ〉のオーナーシェフ、高山いさ己さんが、チーズとコショウだけの伝統的なパスタ、カチョ・エ・ペペのチーズを煮干しに替えコースの〆に提供、思わぬ評判に。“にぼたん”と命名し煮干しパスタ専門店を開店したところ、行列が絶えない店に。太麺に、香川県伊吹島の伊吹いりこを使っただしとフレーク、バターをベースにしたソースがよく絡む。紫タマネギのみじん切りやウズラ卵、海苔などのトッピングも斬新。昼過ぎに売り切れることが多い。アレンジしたトマトにぼたん、ペペロンにぼたんも。

Aroma Fresca 広尾 (広尾)

完熟トマトのスパゲティポモドーロとろけるマスカルポーネのコク バジリコの香り1,728円。

香りの広がり、味の強弱…。一皿のトータルバランスが見事。

〈アロマフレスカ〉誕生の地に店を構える、パスタとビオワインメインのカジュアルレストラン。パスタは、定番14種類と日替わり1種類。トマトソースとマスカルポーネを合わせたポモドーロは、シェフが5年以上かけて改良を重ねて完成させた代表作。最初の一口はトマトの酸味と、香り立つバジルの風味が重なり、実に軽やかで爽やか。食べ進めるとチーズがとろけ出し、コク深い味わいに。一皿でコース料理を味わったような満足感。

ilristopastificio da H (千駄木)

グリッシーニ ボッリーティ パルマ産生ハムのラグーとブロッコリー1,944円。夜限定。

小麦粉を自在に操る、イタリア仕込みの生パスタ。

パドヴァやレッジョ・エミリアなど、北イタリアの町で技術を学び、帰国後〈イータリー〉の料理長を務めた増田英明シェフが開いた、パスタ工房付きのリストランテ。粉が細かいゼロゼロ粉からインテグラーレ(全粒粉)まで、7種類の小麦粉を使い分け手打ちに魂を注ぐ。グリッシーニも手打ちして焼かずにゆでてパスタ生地として使用しており、具材と一緒に煮込むことで、独特のモチモチ感が生まれ、噛むと気泡がプチッと弾ける。

Base (茗荷谷)

オリーブ油、パルミジャーノ・レッジャーノ、コショウで仕上げるタリアテッレ1,200円。

パスタ打ちの文化が根づく、ボローニャが認めたスフォリーノ。

イタリアでは、手作業で麺を打つ職人のことを「スフォリーノ」と呼ぶ。〈バーゼ〉の河村耕作さんもその一人。レベルの高いスフォリーノが集まるボローニャのリストランテで腕を振るい、現地のパスタ学校でも講師を務めた実力派だ。帰国後、その伝統技術を普及させるために工房を開設。麺に集中してほしいから、イートインできるタリアテッレは、あえて具なし。絹のように滑らかな舌触りと軽やかな食感に、パスタの概念が変わる。

PASTIFICIO SUGINO (西小山)

手打ちからショートパスタまで量り売りの生パスタ製麺所。

こぢんまりとした店構えが、街の風景に溶け込む生パスタ専門店イタリア製のパスタマシンで製造するカサレッチェ、ブカティーニをはじめとしたショートパスタや、店主の杉野さんがボローニャで習得した手打ち麺を100gから量り売りしている。奥のイートインスペースでも、生パスタを使ったメニューを提供。タリアテッレ ボロネーゼは、濃厚なボロネーゼソースに合わせて、平打ちながらやや厚みのある、コシの強い麺に仕上げている。季節替わりのパスタも続々登場。

Ristorante e Pizzeria Giancarlo Tokyo (六本木)

ジャンカルロ2, 700円。トリュフの香りと自家製ポルケッタハムの塩味がマッチ。

イタリアの大会で総合優勝した日本人シェフが焼き上げる。

オーナーシェフの小曽根美佐夫さんは、ピッツァの腕を競う『COPPA ITALIA PIZZA DI QUALITÀ 2016』で、200人以上のイタリア人を抑え、ピッツァイオーロ(ピザ職人)ナンバーワンに。粉や水の配分は気候によって変えるため、決めていない。生地をぐるぐる回しながら延ばすスタイルは、単なるパフォーマンスではなく、発酵時に生地が呼吸してできた気泡を極力壊さないため。完璧な火入れで完成するピッツァは、具材と生地との一体感が見事。20種類以上をラインナップ。

PST Roppongi (六本木)

タマキR 2,667円。2種類のチーズを使用。チェリートマトをつぶして食べると美味。

30時間発酵させた生地は、サクッと軽やかな食感

麻布十番の〈サヴォイ〉や〈ピッツァ ストラーダ〉で腕を振るった玉城翼さんが開いたピッツェリア。東麻布店に続き、国立新美術館近くに2号店を2018年9月にオープン。玉城さんのピッツァの特徴は、縁の焦げと膨らみ。長時間発酵で発生した炭酸ガスを、延ばす時に縁に持っていくことで、香ばしさとサクッと軽やかな食感を追求。窯の中に沖縄産のミネラル塩を振り、その上にピッツァをのせて焼くことで、生地自体の味を際立たせている。ピッツァは、10種類以上の定番のほか、旬の食材を使った月替わりの限定メニューも登場。H20㎝とR35㎝の2サイズから選べる。

Guerrero (下北沢)

ビスマルク1,800円。独特の風味とコクがあるミラノサラミとバジルの風味も際立つ。

香り豊かで、歯切れが良い。フィレンツェ仕込みのピッツァ。

ピッツァイオーロの北林剛さんが、研鑽を積んだフィレンツェのピッツェリアのメニューを再現。イタリアのトップブランド〈カプート〉の香りの強いピッツァ用小麦粉、サッコロッソを用い、食感の軽さを出すために多めの水で練る。高温の薪窯で焼き上げたピッツァは、ふっくらと軟らかく、それでいて歯切れが良い。ファンが多いビスマルクは、モッツァレラチーズとペコリーノチーズを贅沢に使い、半熟卵と相まってとろける旨さ。トスカーナ地方の肉料理をはじめ、前菜や主菜も本格派。ビオワインは約100種類揃う。

NAPOLISTA’CA"KOMAZAWA (駒沢大学)

ドン・サルヴァ2, 538円。トマトソースベースにモッツァレラとバジルがたっぷりのる。

ナポリ出身・ペッペさんが焼き上げる真のナポリピッツァ。

12歳から伯父が経営するピッツェリアで修業を始めたというナポリ出身のペッペさんは、約15年前に来日し、本場の味を広めるために尽力。1号店の神谷町店を弟に任せ、現在この駒沢店からナポリピッツァのおいしさを発信している。サルヴァトーレ・クォモ氏に敬意を表して考案されたスペシャリテ、ドン・サルヴァは、星の形が特徴。三角に折った生地の中にはリコッタチーズとスパイシーサラミが隠れており、ペッペさんの遊び心が光る

Lupi32 (阿佐ヶ谷)

スカルパリエッロ1,404円。チェリー&ドライトマトが絶妙なハーモニーを奏でる。

長時間低温発酵の生地は、噛むほどに旨味が広がる!

つくば市の人気店〈トラットリア エ ピッツェリア アミーチ〉で修業を積み、地元で独立した志賀和真さんの生地に対するこだわりは半端ではない。国産小麦粉と千葉県の〈imafarm〉の全粒粉をブレンドし、極少量の酵母菌で48時間長時間低温発酵させることで、小麦本来の旨味と香りを最大限に引き出している。手間はかかるが、種類豊富なピッツァを堪能してもらいたいから、1枚1,100円~と、リーズナブルな価格で提供する。

Don Bravo (国領)

新鮮なモッツァレラチーズを惜しげもなくのせた、シェフ自慢のマルゲリータ1,426円。

郊外ガストロノミーを牽引する実力店のクリーミーなピッツァ。

ミラノの2ツ星レストラン〈サドレル〉や広尾リストランティーノ バルカ(現タクボ)〉など名店で経験を重ね、地元で店を開いた平雅一さんのピッツァは、進化が止まらない。香味野菜を炒めたイタリア料理隠し味、ソフリットからヒントを得て、水の代わりにタマネギの汁で生地をこねる。さらに今年から那須高原のホエーも加えて練っている。長野県清水牧場チーズ工房〉のヨーグルトから起こした天然酵母を混ぜて発酵させた生地は実にクリーミーでチーズと好相性。

L'ottocento
東京都中央区日本橋小網町11−9☎03・6231・0831。11時30分~13時30分LO、17時30分~21時30分LO。月1回メンテナンスのため休。36席。ランチはパスタセットのみで1,296円~、ディナーはアラカルト。夜はサービス料5%。

sisi煮干啖
東京都中央区日本橋小舟町4−9☎非公開。10時30分~15時30分(土11時~15時)*売り切れ次第終了。日曜・祝日休。12席。

Aroma Fresca 広尾
東京都渋谷区恵比寿2−22−10 広尾リバーサイドG B1☎03・6450・2425。12時~14時LO、18時~22時LO。木曜昼・月曜休。20席。ランチ1,728円~。ディナーはアラカルト。夜はパスタのほか、小皿料理も。

il ristopastificio da H
東京都文京区千駄木2−39−2 パステル千駄木1F☎03・4291・9505。11時30分~14時LO、18時~22時LO(日・祝21時LO)。木曜昼・水曜休。9席。ランチ1,728円。ディナーはアルコールの注文がない場合、(コ)540円。

Base
東京都文京区小石川5−34−10☎03・5844・6992。12時~14時30分、17時30分~22時30分。日曜休、不定休。8席。メニューはタリアテッレと、チーズとホウレン草を詰めたラビオリ風のトルテッローニ2,200円の2種類。

PASTIFICIO SUGINO
東京都品川区小山5−22−7☎03・6426・6477。10時~19時(金・土・日11時~20時30分LO、16時~17時クローズ)。イートインは11時30分~。火曜・第1・第3・第5水曜休。15席。

Ristorante e Pizzeria Giancarlo Tokyo
東京都港区麻布台3−4−14☎03・6441・0179。11時30分~14時LO、18時~22時30分LO。火曜昼・月曜休。28席。ランチ1,000円~、ディナーはアラカルト。夜は5%。

PST Roppongi
東京都港区六本木7−6−2☎03・6434・7932。17時~22時LO。不定休。48席。(コ)324円。

Guerrero
風が心地よいオープンテラスも。東京都世田谷区北沢3−23−23☎03・6416・8041。18時~23時LO。月曜休。20席。テイクアウト可。

NAPOLISTA’CA"KOMAZAWA
東京都世田谷区上馬4−5−1☎03・5787・6475。11時30分~14時LO(土・日14時30分LO)、18時~22時LO(日21時LO)。月曜休(祝日の場合は翌日休)。20席。ランチ1,200円~、ディナーはアラカルト。テイクアウト可。

Lupi 32
東京都杉並区阿佐谷南3−32−1☎03・6886・2200。18時〜24時LO(土・日・祝11時30分〜14時LO、土17時〜24時LO、日・祝18時〜22時LO)。月曜休。34席。ランチ1,200円~、ディナーはアラカルト。テイクアウト可。

Don Bravo
東京都調布市国領町3−6−43☎042・482・7378。11時30分~14時LO、18時~22時LO。水曜休。20席。ランチ1,188円~、ディナーは基本コース7,560円~。テイクアウト可。

photo /
Chihiro Oshima, Hisashi Okamoto, Hiromi Kurokawa, Kanako Nakamura, Kaori Ouchi, Kayoko Aoki, Michi Murakami, Natsumi Kakuto, Shin-ichi Yokoyama, Yoichiro Kikuchi, Yoko Tajiri, Yuko Moriyama
text/
Emi Suzuki

本記事は雑誌BRUTUS893号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は893号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.893
新・日本のイタリアン。(2019.05.15発行)

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