その他

スリットスキャン映像。

辻川幸一郎の真夜中の一服映像

No. 892(2019.05.01発行)
居住空間学2019
「The Fourth Dimension」(YouTubeから)
「MUSIC SAVES TOMORROW」(YouTubeから)

 数ある映像エフェクトの中でも、僕が最も偏愛してやまないのは「スリットスキャン」。カメラ前で上下に移動するスリットから漏れる光を撮影する、抽象映像の技法です。スリットで分割した時間のズレで生じる変形が特徴的で、有名なのは『2001年宇宙の旅』スターゲート、あのビョーンと伸びる光。これを天才ズビグ・リプチンスキーが具象に応用した「The Fourth Dimention(1985)」は実験映像史上の最重要作です。回転する物体にスリットスキャンをかけると、時間のズレで物体が飴細工のように捻れていく。「時間」という映像の本質を、この上なく奇妙でインパクトのある形で表出させたのです。ただしこの四次元的な変形は独特すぎて使いどころが難しい。僕は8年前Space Shower TVのID「MUSIC
SAVES TOMORROW」で日常風景にかけてみました。意外にも情感のある詩的な映像に仕上がってお気に入りです。



つじかわ・こういちろう

映像作家。最新作Cornelius「The Rain Song」のMVで雨の風景と人々にスリットスキャンをかけた。

編集/
松尾 仁

本記事は雑誌BRUTUS892号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は892号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.892
居住空間学2019(2019.05.01発行)

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