ライフスタイル

夏葉社が目指すのは、時間に負けない本作り。

本を作る人。

No. 891(2019.04.15発行)
曜変天目 宇宙でござる!?
物として美しい本を作りたい! と明言し、デザインにとことんこだわる島田潤一郎さん。本が美しくあることの効能と、他の出版社とは異なる、独自の視点から見つめる本の未来とは。

夏葉社 代表 島田潤一郎(第4回/全4回)

美しい本を作ることへのこだわりについて、もう少し教えてください。

島田潤一郎
ここ数年はイベントなどで本を手売りする機会が増えてきています。それでね、本が綺麗だとみんな手に取ってくれるんですよ。「これを読む前にこれを読め」みたいな教養主義なんて関係なくフラットに本と出会ってもらえる。たとえ作者のことを知らなくても本を読んでもらえる。そういう土壌ができてきていると思います。

本だけでなく帯の端正な佇まいも書店で目を引きます。

島田
夏葉社の基本の考え方は、一つの本を2500〜3000部くらい刷って、それを10年かけて売っていくというものなんです。10年先のデザインは予見できないし、言葉も年月が経てば古びたものに感じられるだろう。そうならないためには要素をそぎ落とすしかない。帯のデザインも文言も、ここまでシンプルにすれば10年後にもそんなに外しちゃうことにはならないだろうという(笑)。長く耐性のあるものを作って何年もかけて売っていくというのは、大きな出版社ではなかなか難しいと思います。いざとなったらコンビニでバイトでもなんでもすればいいやって開き直れるのは“一人出版社”ならではですね。うちの本は高いと言われてしまうこともあるんですが、それでも、できるだけ安くしようと努力しています。文学はもっと多くの人に読まれるべきだし、本が読まれることで社会が良くなると本気で信じている。そのためにも、学生や著者にも届く本を作りたいと思っています。(了)

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しまだ・じゅんいちろう

1976年生まれ。10周年を迎えた夏葉社で、10年後にも古びず手に取られる本を作る。次の刊行予定は、対談集『漱石全集を買った日』。4月25日に発売される。

第1回第2回第3回第4回

写真/
角戸菜摘
文/
鳥澤 光

本記事は雑誌BRUTUS891号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は891号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.891
曜変天目 宇宙でござる!?(2019.04.15発行)

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