YOSHIDAHOUSE/BISTROTL'adret

グルマン温故知新

No. 891(2019.04.15発行)
曜変天目 宇宙でござる!?

正統派で、良心的。デイリーに使える王道ビストロ。

カジュアルにワインを楽しめる店が続々と“酒場化”する今、伝統料理重視のビストロが2軒誕生。メニューは王道、しっかりポーションの肉料理と3ケタ価格の前菜や小皿料理がメニューに並び、ワインもグラスでいろいろ。月に1、2回足が向くのはこんな店!

YOSHIDAHOUSE(広尾)

魚介料理も充実、深夜のチョイ飲みも。

前菜、主菜に加え、3ケタ価格の小皿料理が7~8種。ポーションも太っ腹。パテ・ド・カンパーニュやアッシェ・パルマンティエなど、3~4人でシェアして十分なほどで、値段はメニューを二度見するほど手頃だ。
 
フレンチ好きからの信頼も厚い〈レストラン キノシタ〉で5年、後半はスーシェフも務めた吉田佑真さん。料理を始めて18年目に満を持して開いた店では、自身が作り飽きることも食べ飽きることもないビストロ料理を、日常使いできる価格で提供する。ステーキなどの肉料理はワインが進む塩加減で。豊洲で仕入れる魚介の一皿は、鮮度を生かして軽やかに。昨今ではワンオペ営業も珍しくない小箱を、男性スタッフ2人と勢いよく回し、オープンキッチンのライブ感も相まって、店内の活気にまた食欲が後押しされる。営業は深夜3時まで。遅い時間にデザートと食後酒を求めリピーターがやってくるあたり、早くも町に根ざす店の貫禄である。

牛ハラミのステーキ 焦がしバターソース

メニューには「じゃがいものグラタン添え」とだけ書き添えられているが、リーフサラダにブロッコリーやスナップエンドウなど、野菜が盛り盛り。外側は香ばしく、中はしっとりな火入れは完璧で、ケイパーの酸味と塩気が効いた焦がしバターのソースもアクセントに。ボリュームのある赤ワインと。1,980円。

タコの燻製とウフマヨネーズ

ビストロの定番と、スペイン・ガリシア地方のタコの前菜をドッキングさせた小皿料理。マヨネーズとパプリカパウダーの相性の良さから着想を得たオリジナルだが、今やリピート率の高い看板料理に。680円。

スープ・ド・ポワソン

修業先の〈レストラン キノシタ〉に倣い、刺し身でも食べられるほど鮮度抜群なアジと甘エビがベース。そのときにある白身のアラに香味野菜もたっぷり加え、旨味は濃厚、テクスチャーはさらりとした仕上がり。880円。

吉田さん。趣味はマラソン。

BISTROTL'adret (千歳船橋)

夫婦で営むナチュラルワインビストロ

「自分でやるなら、クラシックなビストロ料理を出す店と決めていた」と、古山幸正さん。千歳船橋を選んだのは、「1周すれば町の知り合いに会える」サイズ感が、1年暮らしたフランスの田舎町・ソリューと重なったから。古い一軒家の2階、妻の久美子さんと営む10席の店は、働く人より暮らす人のリズムで動く町にぴたりとハマっている。
 
黒板メニューには、ウフマヨネーズにお肉のパテ、ステーキフリットといったザ・定番がずらりと並ぶ。今ならホワイトアスパラガスなど、前菜に野菜料理を多く揃え、主菜はがっつり肉を、というスタイル。手間暇かけたソースが要の重層的な味わいだが、ビネガーや野菜のだし使いが巧みでキレ味よく、ナチュラルワインとも好バランス。王道ビストロ料理とナチュラルワイン、実はありそうでなかった組み合わせだ。背伸びせず、真っすぐな夫妻の人柄も好感度高し。年月を重ねるごとにいい店になりそう。

ステーキフリット

赤身の強いニュージーランド産オレガノビーフのハラミを使用。バターとフォン・ド・ボー、マデイラを効かせたリッチなソースは、エシャロットの香味とシェリービネガーの酸でキレ味ある仕上がりに。嚙むほどに増す肉の旨味を引き立てる。山盛りポム・フリットも止まらなくなるワインのつまみ。2,500円。

こだわり赤卵のウフマヨネーズ

青森県産の赤卵は、半熟に火を通したときの卵黄のとろみが濃厚。ソースはマスタードを加えた自家製マヨネーズにトマトピュレの果実味をプラス。上質ながらケチャップマヨネーズのような懐かしさも。1個400円。

フランス ロワール産ホワイトアスパラ

春のごちそう、ロワール産ホワイトアスパラをシンプルに味わう一皿。アスパラのほろ苦さを中和するトマトのだしを加えたビネグレットで。ワインはきりっと冷えたソーヴィニヨン・ブランで決まり! 2本1,600円。

食べることはもちろん、おいしいものの話も大好きだという古山さん。

YOSHIDAHOUSE

電話:03・5860・2139
営業時間:18時~翌2時LO。
席数 :カウンター7席、テーブル2卓8席。
価格:アラカルトのみ、前菜880円~、メイン1,780円~、小皿料理580円~。生ビール600円、ワイン約40種3,800円~、グラスワイン8種700円~。

東京都渋谷区広尾5−20−5。不定休。東京メトロ広尾駅から徒歩5分。2019年1月8日オープン。チャージ500円。吉田さんは20歳からフレンチ一筋で、独立前は表参道〈ビストロ・ル・マン〉(現〈サンクアベニュー〉)でシェフを務めた。ラム酒風味のプリンやチョコレートのテリーヌ各650円などのデザート、チーズ各種や食後酒も豊富。深夜はメニューにない料理を即興で作ることも。

BISTROTL'adret

電話:03・6413・7833
営業時間:18時~22時30分LO。
席数 :カウンター4席、テーブル2卓6席。
価格:ビール(小瓶)600円~、ワイン約15種、グラス約6種800円~。アラカルトのみ。前菜400円~、メイン2,500円~。

東京都世田谷区桜丘2−26−14 2F。不定休。小田急線千歳船橋駅から徒歩3分。2018年12月7日オープン。パン代1人300円。古山さんは辻調理師専門学校のフランス校を経て、恵比寿〈ル・リオン〉等で修業、麻布十番〈喃喃〉で2年間シェフを務め独立。妻・久美子さんは渋谷〈ブラッスリー・ヴィロン〉等でサービスを経験。ドリンクはクラフトビールや自家製のジンジャーエールも揃える。

佐々木ケイ

photo/
Naoki Tani

本記事は雑誌BRUTUS891号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は891号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.891
曜変天目 宇宙でござる!?(2019.04.15発行)

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