OPEN FISH/meuglement

グルマン温故知新

No. 890(2019.04.01発行)
花と花束。

酒を呼ぶ、魚と肉のカウンター。

今日のディナーの気分は、季節を感じられるピチピチの魚でしょうか? それとも、食べ応えのある牛肉でしょうか? 片や、「いい魚をもっとカジュアルに!」と意気込むチームの意欲店。もう一軒は肉焼きに魅せられたシェフの新店。

OPEN FISH(渋谷)

おまかせ5点盛り

“5”点は名ばかり、常時7〜8点を盛る。上段左から皮目を炙ったキンメ、真鯛、紅芯大根の鬼おろしを添えたカツオ。中段左から活け〆した石鯛、大間の本マス、徳島のしめ鯖。下段左からタイラガイ、自家製の大葉味噌を添えたヤリイカ。煮切り醤油やマルドンの塩、御殿場の本わさびとともに。2,500円。

よだれ鰤

ここは魚の店につき、よだれ“ドリ”ならぬ“ブリ”。1週間熟成させてまんべんなく脂が回ったブリは、昆布だしでさっと霜降りに。豆板醤やラー油を使ったスパイシーな「よだれ鶏」のタレとともに。1,000円。

山利しらすの卵かけごはん

和歌山で7代続くしらすの老舗〈山利〉の釜揚げしらすを存分に楽しめる〆の一品。だし醤油をかけた卵黄、だしで割った卵白、築地〈林屋海苔店〉の糸のりなどの具材を、自由にご飯にトッピング。700円。

新鮮な魚をもっと身近に、な居酒屋。

カジュアルなワインバーやビストロが立ち並ぶ渋谷・宇田川町エリアに、ぱっと見、カジュアルダイニング、その実、上質な魚が主役のカウンター居酒屋が登場。「渋谷にはおいしい魚料理を気軽に食べられる店が少ない」と感じていたオーナーが、10年の構想を経て昨秋開店した。
 
カウンターで腕を振るうのは、都内の有名店やLAドイツでも寿司を握っていた職人・阿部国充さんと、老舗イタリアンでの勤務経験もあり、主に煮炊きを担当する店長の藤田啓伸さん。
 
2人で週2〜3回豊洲に通い、寿司屋時代から馴染みの仲卸で仕入れる魚に、長期熟成に耐えるよう、プロの間で“究極の血抜き”と呼ばれる「津本式」の仕込みを。これが“質がいいのに値段は手頃”の秘訣だ。
 
そうして旨味を増幅させたネタを、刺し身で常時8〜10種類を揃えるほか、炭火焼きや「よだれ鰤」などの創作料理にも。しかも、ギョッとするほど懐に優しい!

店長の藤田さん(左)と、鮮魚を担当する阿部さん。

meuglement(西永福)

ステックフリット

扱う牛肉は短角牛が基本で、岩手県産と北海道〈ELEZO〉のものを揃えるが、部位は入荷状況で日々替わる。グラム数の異なる数種類の塊から好きなものを選ぶシステム。写真は「いわて短角牛」のサーロインで、約400gの塊を焼いたもの。6,912円(1,728円/100g)。付け合わせは「キタアカリ」のフライ。

マッシュルームのサラダ

みずみずしくギュッと詰まった食感が特徴の、岩手「八幡平マッシュルーム」をスライサーで極薄に切り、エシャロットと塩コショウ、オイルで仕上げる。「切りたてのマッシュルームの香りが命!」と中森さん。972円。

パテ・ド・カンパーニュと短角牛のリエット

岩手「四元豚」を使いグリーンペッパーを効かせたパテ・ド・カンパーニュと、ラードをほとんど使わず肉の煮汁が持つゼラチン質で固めることで、旨味はしっかりと食後感はさらり、なリエットの盛り合わせ。2,052円。

肉とワインで満足!のカウンタービストロ。

“肉イタリアン”の代表格として、多種多様な肉料理を揃える牛込神楽坂〈カルネヤ〉で3年。熟成させた赤身肉の塊を多めの油で揚げるように焼くステーキが評判の六本木〈祥瑞〉で2年。イタリアンとフレンチ、しかも異なるアプローチで肉を扱う店で修業した中森隆司さんが、西永福に開いたのは一人で営む「ステックフリットと自然派ワインの店」だ。
 
2軒でのキャリアを通じて感じたことは「お肉を食べに来るお客様って元気で楽しい人が多くて、お店の雰囲気が盛り上がるんですよね」。かくして、〈祥瑞〉で習得した、油で揚げるように焼くステーキを主役にメニューをぐっと絞り込み、お客様の顔が見えてワンオペでもサーブしやすいからと、コの字カウンターの物件を選んだ。
 
油の中で刻々と変化する肉の様子を見つつ、芯温や弾力から焼き上がりを判断。完成したステーキの断面は肉汁を湛え、噛み締めれば旨味がほとばしる。

肉の様子を凝視し、ベストな状態に焼き上げる中森さん。

OPEN FISH

電話:03・6407・0271
営業時間:18時〜22時30分フードLO。ドリンクは23時LO。
酒:生ビール700円、サワー700円〜。グラスワイン1,000円〜。
価格:刺し身(単品)800円〜。一品料理・炭焼き500円〜。ご飯物300円〜。
席数 :カウンター12席、テーブル4卓14席。

 東京都渋谷区宇田川町37−14 WHARF渋谷宇田川町B1。日曜休、ほか不定休あり(Instagramで告知)。交通:JR渋谷
駅から徒歩10分。2018年10月オープン。またアルコールは、日本酒や焼酎はもちろん、魚料理に合う淡い味わいの日本ワインや、クラフトジンにも力を入れている。器はオーナーのコレクションの作家ものも多数。BGMは本格的なオーディオによるアナログ音源。

カウンターはローズウッド。アンティークの家具や各国の器も楽しい。

meuglement

電話:080・2117・5863
営業時間:18時〜23時LO。
酒:グラスワイン972円〜。ボトルワイン5,616円〜。ビール950円。
価格:前菜540円〜。サラダ972円〜。パスタ972円〜。デザート756円〜。
席数 :カウンター12席。

 東京都杉並区永福3−57−16。火曜休。交通:京王井の頭線西永福駅から徒歩3分。2019年2月オープン。店名は、牛の鳴き声を意味するフランス語。それにちなんで、入口のガラス扉やショップカードには、カウベルが描かれている。肉に合わせるワインは、自然な造り手による軽やかで酸のあるタイプ。ナチュラルワインの魅力を広く伝えた勝山晋作さん経営の〈祥瑞〉での経験が生きている。

床が階段状のユニークな店内。ランプシェードは船串篤司さんの作品。

photo/
Shin-ichi Yokoyama

本記事は雑誌BRUTUS890号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は890号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.890
花と花束。(2019.04.01発行)

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