生活・スポーツ

花屋の一日。

花と花束。

No. 890(2019.04.01発行)
花と花束。
東京都中央卸売市場世田谷市場へ。複数ある仲卸店から厳選した持ちきれないほどの生花。

店頭での接客以外にも、やることが山積みなフローリストの仕事。私たちの目に触れない“花屋の裏の現場”を覗くため、〈ハナミドリ〉のオーナー、上田翠さんに密着。仕事開始は、なんと日の出前の朝4時。花屋の華麗なイメージとはギャップのある一日を追ってみました。

04:00 仕入れ

仕入れは、市場に切り花が並ぶ、月曜・水曜・金曜の週3回。前日までにオーダーを受けたブーケに必要な花材と、店頭に並べる生花を、色のバランスや鮮度を見極めながら買い付けていく。

市場外の〈村田永楽園〉に立ち寄り、さらに鉢物を仕入れて、〈ハナミドリ〉へ。

仕入れの合間に、市場内にある食堂〈キッチンマルシェ〉で、早めの朝食。

08:00 開店準備(搬入、水揚げ)

市場から約30分で店に到着。仕入れた花をワゴン車から下ろし、できるだけ迅速に店内で“水揚げ”。花を長持ちさせ、摘み取った時のような生き生きとした姿に戻すための大事な作業。

繊細な花が傷まないように、大輪から野花の順に重ねて積み込んだ花を荷台から下ろす。

10:00 生け込み先へ

契約する飲食店やアパレルショップの営業前に、店頭の花瓶を装飾する“生け込み”へ。時間が限られているため、多くても1日2店舗まで。各店、週1回ペースで花瓶の花を生け替える。

事前に打ち合わせしたイメージに合わせて、店が用意した花瓶に丁寧に飾り付けていく

12:30 開店

水揚げ中のバケツから花を取り出し、背の高さや色のバランスを見ながら並べていく。ここで、仕事開始から約8時間が経過。やっと開店準備が整い、営業を知らせる看板を店先に出す。

すべての花が見栄えするように、背の高いものや枝ものは、棚の奥や足元に陳列。

13:00 接客&オーダーの作成

客足を見ながら、合間に昼食をとり、オーダーを受けた花束を制作するのが、営業中のルーティン。お客さんが来店したら、接客が第一優先。注文の電話やメールにも対応していく。

引っ越し祝いでオーダーされた、ドライになってもきれいなスワッグ。これで約5,000円。

生け込みから戻る途中に購入した〈モアザンベーカリー〉のパンをかじり、一休み。

18:00 閉店準備

ブーケ制作や接客時に切り落とした花や茎をきれいに清掃。最後に帳簿に記載しながら、残る花の状況を確認。一日の締めであり、翌日の営業を気持ちよく迎えるための準備でもある。

売り上げを確認しながら、明日以降に必要な花の仕入れのことも考えておく。

オープン時から愛用するほうきとちりとりで、店内の隅々まで掃除。ちり一つ残さない。

19:00 閉店

これで一日が終わり、と思いきや、明かりは灯ったまま。この後、営業中に終わらなかったオーダー分を制作。繁忙期には連日深夜まで作業が続くことも。花屋の一日はとてつもなく長い。

東京都庁近くの住宅街の一角にある〈ハナミドリ〉。徐々に街から明かりが消えるなか、この日の作業は深夜に及んだ。

ハナミドリ (新宿)

外壁一面がツタに覆われた、古民家風の建物。系列店に西荻窪の〈枝屋〉がある。
東京都新宿区西新宿5−25−1☎03・6276・6769。12時30分〜19時。木曜・第3水曜休。ウェブサイト

photo/
Koichi Tanoue
edit&text/
Keiichiro Miyata
cooperation/
Q-cafs, shuo

本記事は雑誌BRUTUS890号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は890号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.890
花と花束。(2019.04.01発行)

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