焼肉 冷麺 ユッチャン。/韓国食堂入ル 坂上ル

グルマン温故知新

No. 889(2019.03.15発行)
服があるのに、着たいものがない?

看板メニューを引っさげて現る。ファン続出中の韓流食堂。

これまでも日本人の胃袋をわしづかみにしてきた韓国料理。“東京進出”“名物料理”を共通点に恵比寿と六本木にお目見えした2つの新店。蔘鶏湯と冷麺、どちらもお馴染みの定番ながら、座布団2枚、目からウロコの味わい。ディープコリアンの世界へようこそ!

焼肉 冷麺 ユッチャン。/ 六本木

日米韓のハイブリッド。ハワイの人気コリアン。

日本に上陸したハワイアンフードは数あれども、今度はコリアン、それも冷麺に焼肉とくる。ハワイのアラモアナ・センターにあり、日本観光客ハワイ好き芸能人御用達の〈ユッチャン コリアンレストラン〉。4年もの歳月を費やして口説き落とし、ようやく決まった出店先はミシュラン3ツ星〈日本料理 龍吟〉の跡地。本店同様の客層が集まる中心エリアだけに、滑り出しから人気は上々だ。
 
スペシャリテの葛冷麺は、本店のレシピそのまま再現した看板メニューの一つ。葛粉と蕎麦粉が練り込まれた黒い麺と、牛骨と数種の野菜を長時間煮込み、常夏の気候に合わせてシャリシャリのシャーベット状にしたスープが特徴。骨つきカルビとセットで味わうのがハワイ流だ。
 

本場の味を忠実に再現する、料理長の降矢史耕さん。

料理長の降矢史耕さんは不動前〈焼肉しみず〉でも肉について学び和牛焼肉や芝浦直送のホルモンにも力を注ぐ。ファンの多い人気店ゆえ、すでに2〜3週間先まで予約殺到中とのこと。

葛冷麺

ユッチャン本店オリジナルの葛粉、蕎麦粉と小麦粉をブレンドした黒い細麺は、モチモチと弾力があり喉ごし滑らか。甘酢大根、キュウリ、ゆで卵にビーフチャーシューをトッピング。テーブル上でハサミで食べやすくカットしてくれる。からしと酢を加えれば一味違った味わいに。葛ビビン麺もあり。1,200円。

韓国のり巻/キンパ

六本木店だけのオリジナルメニューは、韓国人スタッフによる本格派。この日の具材は、ニンジン、キュウリ、ゴボウ、たくあん、卵焼き、魚肉ソーセージ、カニカマ。内容は変更されるが、たくあんはマスト。700円。

骨付きL.A.カルビ

醤油をベースに砂糖、野菜、フルーツをブレンドした特製甘辛ダレで味つけ。アラモアナ店では葛冷麺とセットで食べる客が多いというもう一つの看板メニュー。付け合わせのタマネギも美味。2,000円(写真は1.5人前)。

韓国食堂入ル 坂上ル / 恵比寿

女将の味をそのままに。目指すは蔘鶏湯の聖地。

大阪・鶴橋にある完全予約制の韓国料理店〈韓味一〉。創業四十数年という同店の女将で母の朴三淳さんの味を受け継ぎ、コースの締めで人気だった蔘鶏湯の専門店韓国食堂入ル〉を大阪福島にオープンした代表の山崎一さん。「〈韓国食堂〉を蔘鶏湯の聖地にしたいねん! それには大阪一極集中ではだめ」と、東京進出。自ら乗り込み、普及に努める今日この頃だ。
 
大きめの丸鶏にこだわり、しっかりともち米を詰め、高麗人参とニンニク、ナツメを一緒に炊いたスープでシンプルに。食べ手が味つけするのが一般的だが、あらかじめ味を決めて提供するのも女将譲りのスタイル。

大阪〈韓国食堂入ル〉の創業スタッフだったという店長の小林彩子さん。

活ワタリガニのケジャン、ナムルやキムチもはっとするほど洗練され、味にまとまりがあり滋味深い。評判の高さも頷ける。「季節感のある和食と違い、いつも変わらず同じものを食べられるのが韓国料理の魅力」とは女将の弁。安くて旨いを貫く優良店。以後、お見知り置きを。

ナムル盛合

上から時計回りに、ホウレン草、モヤシ、水菜、ワカメ、韓国カボチャのナムル。蓋を開けずに蒸して火入れするモヤシに、湯がいて水分をしっかり絞り切るホウレン草など、直伝の技が光る。1,500円(2〜3名様用)。

活ワタリガニのケジャン

唐辛子ベースのタレで和えた通称ヤンニョンケジャン。おいしさの秘訣は一にも二にも「活け」を使うこと。取説を参考に、ビニール手袋を片手に装着の上、殻ごとかぶりつく。数量限定。4,000円〜(価格は個体差による)。

韓味一の蔘鶏湯

韓国宮廷料理の一つであり、滋養強壮にも効果的という薬膳料理。五味五色の考えに基づき、鶏の白、ナツメの黒、錦糸卵の黄、クコの実の赤、ネギの緑と彩りも抜群。スタッフがスプーン2本を巧みに操り、丸鶏を食べやすくほぐして提供してくれる。1人前1,600円(注文は2人前から、人数分でのオーダー)。

焼肉 冷麺 ユッチャン。

電話:03・6459・2969
営業時間:17時〜24時(23時LO)。
酒:生ビール680円、サワー700円~、ワインはグラス1,000円〜。
価格:アラカルト中心、コース6,800円。
席数 :1階テーブル10卓38席、2階テーブル4卓16席、個室5室。

東京都港区六本木7−17−24 eisu. bldg。不定休。交通:東京メトロ六本木駅2番出口から徒歩4分。2019年1月18日オープン。メニューはアラカルトを中心に、コースはキムチやナムルの盛り合わせとサラダなどの前菜、肉はハラミ、赤身とカルビ各2種とスペシャリテのL.A.カルビ。葛冷麺、葛ビビン麺、石焼ビビンバ、スープ・ライスのいずれかを選ぶ食事に、デザートがついてお得な内容。

韓国食堂入ル 坂上ル

電話:03・5734・1699
営業時間:16時〜24時(23時LO)。
酒:生ビール600円、マッコリはグラス600円~、ボトル2,500円〜。
価格:アラカルト中心、コース5,000円〜。
席数 :カウンター6席、テーブル4卓22席。

東京都渋谷区恵比寿南1−17−2 Rホール3F。日曜休。交通:JR恵比寿駅西口出口から徒歩3分。2019年1月20日オープン。メニューはアラカルト中心でコースもあり。キムチと自家製ナムル各種800円、ハーフ600円。和牛のプルコギ(大)1,500円、(小)1,200円、蒸し豚(大)1,500円、(小)800円ほか、入ルのチャプチェ900円なども人気。韓国のビールに限定生マッコリもお薦め。

photo/
Hisashi Okamoto

本記事は雑誌BRUTUS889号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は889号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.889
服があるのに、着たいものがない?(2019.03.15発行)

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