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一人で考え一人で練る。他社から出せない本を作る。

本を作る人。

No. 888(2019.03.01発行)
WE LOVE 平成アニメ
本の企画を練り、執筆を依頼し、本の形や売り方を考える。書店を巡り、完成した本を送る。すべてを一人で行う“ひとり出版社”を立ち上げて10年。夏葉社の島田潤一郎さんに話を聞いた。

夏葉社 代表 島田潤一郎(第1回/全4回)

ここ数年しばしば目にするようになった“ひとり出版社”ですが、実際のところどんなふうに本を作っているんですか?

島田潤一郎 
一人で経営する独立系の版元というのは以前からあったんです。それがネーミングやSNSとの相性の良さで、ここ数年浸透してきたんじゃないかな。僕自身はこの形態はとても好き。企画の最初からすべてを一人で決められるからこそ、会議に乗せたら通らないような本が作れるんだと思っています。

夏葉社で最初に作られた本について教えてください。

島田
『レンブラントの帽子』というアメリカ文学で、1975年に翻訳され絶版になっていたものから3編をより抜いて復刊しました。翻訳者の一人、作家の小島信夫が大好きで、この本は彼の仕事の中でも特に好き。復刊するからには、翻訳者や著者を知らない人にも手にとってもらいたいと思案して、装幀を和田誠さんに依頼しました。

和田誠さんとはそれまでもお仕事されていたんですか?

島田 
初めてでした。僕が和田さんをいかに好きで、いかに尊敬しているかを手紙に綴り、解説をお願いした荒川洋治さんにも、やっぱり手紙を書いて引き受けていただきました。和田さんにはバーコードを帯につけるよう助言をもらったり、僕がワードで切り貼りした帯のデザインを直してもらったり。荒川先生には、奥付とは、文字の大きさを表すQ数とは、など細かいことまで教えていただきました。本当に何も知らないまま、でもいい本を作りたいという気持ちだけはあったんですよね。(続く)
復刊第1号『レンブラントの帽子』と、書き下ろし第1号『冬の本』。

事務所に積まれた本の在庫。

しまだ・じゅんいちろう

1976年生まれ。ヨーロッパアフリカを旅しながら小説家を目指す。2009年、「何度も、読み返される本を」作るために、東京吉祥寺で夏葉社を立ち上げる。

写真/
角戸菜摘
文/
鳥澤 光

本記事は雑誌BRUTUS888号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は888号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.888
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