アニメ

燭台切光忠とピエール・ジャンヌレ。

最新アニメ副読本。

No. 888(2019.03.01発行)
WE LOVE 平成アニメ
アニメ『続「刀剣乱舞−花丸−」』より、刀剣男士・燭台切光忠が描き下ろしイラストで登場。BRUTUSならではの、名作椅子とのコラボレーションをお届けします。2つの物語が交わる場面を、とくとご覧あれ。

ゴミ捨て場から、 国宝級の名作椅子へ。 “価値の再発見”の 物語が、ここにも。

焼損という状態から美術品としての新たな評価を再び取り戻した《刀 燭台切光忠》。同じく、一度は失われたかと思われた価値が再発見された物語を持つ椅子があることをご存じだろうか。
 
椅子の作者、ピエール・ジャンヌレは1896年にスイスのジュネーヴで生まれた建築家近代建築の祖であるル・コルビュジエのいとこにあたる。2人がともに携わったのが、1951年から始まった、インド・チャンディガールの都市計画だ。ジャンヌレは、建築だけでなく椅子などの家具を多数デザイン。それらはチャンディガールの様々な施設で使用された。
 
しかし、90年代にさしかかると、作品は大量に廃棄されてしまう。原因は、年月の経過やインドの高温多湿な熱帯気候。木材が劣化し、ぼろぼろになってしまったのだ。
 
そのような状況を聞きつけたのが、パリの〈ギャルリー54〉や〈ギャルリー・パトリック・セガン〉のギャラリストたち。彼らは打ち捨てられていた作品を収集し、情報を集め、作品集として魅力を発信。集められた家具は、かつての姿を記した資料を参考に修復が施された。さらに追い風が吹く。コルビュジエが設計し、ジャンヌレの家具が使われていた施設が世界遺産登録を受けたのだ。
 
今では、インド政府から国宝級の扱いを受け、世界中のコレクター憧れの存在となったジャンヌレの椅子、そして、ミュージアムに多くの人を集める《燭台切光忠》。どんなモノも、美しさを見出し、広めようとする人さえいれば、その輝きが失われることはないのだ。

刀本体が座り、刀剣男士として人の姿を得た光忠が見つめているこの椅子は、ピエール・ジャンヌレの名作の一つである《オフィス・ケーン・チェア》。椅子も刀も、用と美が互いを高め合う道具だ。ジャンヌレの椅子も、世界中のミュージアムがコレクションとして所持しており、美術品としての一面も併せ持っている。数奇な運命を辿った椅子を目の前にして、光忠はいったい何を思っているのだろうか。

原画/
豊田暁子(Akiko Toyota)
仕上げ/
ニトロプラス
©2018 Nitroplus・DMM GAMES/
続『刀剣乱舞-花丸-』製作委員会 

本記事は雑誌BRUTUS888号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は888号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.888
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