TASCHEN マネージング・ディレクター マレーネ・ タッシェン(第2回/全2回)
- 15年前、BRUTUSがベネディクトさんに取材をした時に、作りたい本があったら社長自らアーティストに会いに行くという話を聞きました。今も同じやり方を続けているんですか?
- マレーネ・タッシェン
- はい、父は今でもそうしています。私もアーティストに会いに行くこともあるし、『Ferrari』のように食事会をきっかけに本が生まれることもある。面白い研究をしている個人や企業からも、本作りの提案がたくさん寄せられます。タッシェン社はプライベートカンパニーなので、マーケティングやリサーチのデータではなくて、ブックワームたる読者たちを満足させられるかどうか、という視点を基に本を作っているんです。
- マレーネ
- ケルンから始まった本屋ですが、今では世界中に直営店があり、昨年夏には香港にも店舗がオープンしました。アジアの文化、特にアートには個人的にも会社としてもとても興味があって、昨年は安藤忠雄『Ando. Complete Works 1975−today』を出版しましたし、今後は荒木経惟やイッセイ・ミヤケ、歌川広重の本も出版する予定です。私たちが知らないものがまだまだいっぱいあるので、たくさんの写真家やアーティストの作品に出会いたい。それと、日本でいつかやってみたいのが、浮世絵の技術を使った限定本を作ること。伝統的な印刷手法で現代的なテーマを映し出せたら絶対に面白いものになると思うんです。(了)
マレーネ・ タッシェン
- 写真/
- 角戸菜摘
- 文/
- 鳥澤 光
本記事は雑誌BRUTUS887号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は887号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。