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日本人のプログレ愛、 そしてフェリー来日。

滝本誠のCAFÉ NOIR

No. 887(2019.02.15発行)
平凡ブルータス

キング・クリムゾンはこのところ来日コンサートを全国津々浦々でおこない、プログレ・ファンにとってベンチャーズ化現象が話題だ。ロバート・フリップの元気なこと。ファン層は高齢化したが、英国プログレを支えてきたのはわが日本という自負が大枚をはたかせるのであろう。クリムゾン初来日公演(1981年)のときのパンフレットで、ロッキング・オンの渋谷陽一氏と対談したが、あれからもう40年近くなるのか……。パンフもどこかへ消えてなにをしゃべったか覚えていない。

うれしいニュースは、この3月のブライアン・フェリーの久しぶりの来日コンサートだ。フェリー・コンサートにフランスまではせ参じたのは、5年前だった。毎年開催の『ジャズは死なず』というイベントにフェリーが、ジョン・ゾーンらとともに参加したのである。フェリーが熱狂的なオールド・ジャズ・マニアであることは、映画『グレート・ギャツビー』の音楽監督に指定されたことでもわかる。このときにフェリーはコーリン・グッドほか名うてのジャズ・ミュージシャンを集めて、〈ブライアン・フェリー・オーケストラ〉を結成した。このチームでのフェリー曲のアレンジ、演奏はアルバム『THE JAZZ age』で楽しむことができる。このアルバムではフェリーは歌っていない。

昨年末にリリースされたニュー・アルバム『Bitter-Sweet』において、ジャズのフォーマットを継続させ、フェリーはリスナーの耳にタイトルどおり、渋く甘く囁くようなクラブ歌唱をみせる。今回は〈ブライアン・フェリー・アンド・ヒズ・オーケストラ〉とクレジット。冒頭の曲は「アルファヴィル」 アルバム『オリンピア』に収録されたときは、女性のロシア語がインサートされ、フェリー流ジャン=リュック・ゴダールの同名作解釈に痺れたものだったが、今回はクルト・ヴァイル風味で。

フランスの時と同様、ほんとは数百人規模の会場で聴きたい。ともかく、フェリーは数年がかりで準備中の書き下ろし評論のキーパーソンでもあり、来日で執筆が加速するであろうことは期待……できない。

たきもと・まこと

東京藝術大学卒業後、編集者に。著書に『映画の乳首、絵画の腓 AC 2017』(幻戯書房)。

本記事は雑誌BRUTUS887号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は887号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.887
平凡ブルータス(2019.02.15発行)

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