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テーマ〈続々・教訓〉

平常心ブラザーズの平常心を失くす日。

No. 887(2019.02.15発行)
平凡ブルータス
宮沢 
ウチの母親は今、86歳で介護施設にいるんだけど、この前は相撲取りの夫婦が部屋にいたっていうひねりの効いた秀逸なことを言っていた。あと、前から妹が金盗るって妄想してたんだけど、今度は妹が部屋に来て財布を開けて、五千円札を新札に換えてたっていうんだよ。意味がわからないことを言いだして、それがちょっと笑っちゃう。
やつい 
何かが見えているんでしょうね。
宮沢 
俺がラジオをやっていない日にラジオをやってたって。博打をしていたっていうんだけど、ラジオでやるわけがないだろうと。
やつい 
年齢って不思議なものですね。この前、『ボヘミアン・ラプソディ』を観たら、自分があと1年でフレディが死ぬ年齢で、びっくりしました。ジョン・レノンはすげえおじさんだと思ってたら40歳で死んでいる。いまだにおじさんだと思っているのに、自分の方が年上になっている。
宮沢 
三島由紀夫が45歳で中上健次が46歳。夏目漱石は49歳か。結構いる。俺はもうとうに越したよ。びっくりです。夏目漱石全集あるけど、50歳を前に死んでいるのに、なんでそんなに書いちゃったの? 漱石、特に書きすぎ(笑)。
やつい 
後輩も育ててるし。
宮沢 
夏目漱石の命日は1916年12月9日なんだけど、奇しくもちょうど40年後に俺が生まれる。
やつい 
長いスパンの生まれ変わりだと(笑)。
宮沢 
40年も何してたんだろうね(笑)。10年くらい前に早稲田大学に行ったら、立て看板に研究成果の発表の知らせが手書きの文字で書いてあって、笑ったのが『漱石、ロンドン時代の下宿探し』。そんなことを研究している人がいるんだって驚いた。
やつい 
なぜ文豪ばかりがいろいろいわれるんですかね。文豪が食べた店とか、文豪がみんな美味いものをわかるわけではないと思うんですけどね。よく通ってたって、近いからだろうと。
宮沢 
大したことない蕎麦屋が紹介されていた時には釈然としない気持ちになったね。
やつい 
文豪が食べたウナギとか。いや、ウナギは大概美味いから。
宮沢 
小津安二郎が好きだったとんかつ屋が今も上野にあるけど、もちろん美味しい店だよ。でもヒレしかないんだよ。俺は、ロースが好きなんだ。これも釈然としない(笑)。
(続く)

宮沢章夫/遊園地再生事業団主宰。著書に『長くなるのでまたにする。』ほか、多数。

やついいちろう/エレキコミック。エレ片『光光☆コントの人』を東京グローブ座ほかで開催。

写真・編集・文/
村岡俊也

本記事は雑誌BRUTUS887号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は887号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.887
平凡ブルータス(2019.02.15発行)

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