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待望かつ驚きのコラボレーション、浅井健一と奈良美智の絵本『ベイビーレボリューション』が発売。

BRUTUSCOPE

No. 887(2019.02.15発行)
平凡ブルータス

待望かつ驚きのコラボレーション、浅井健一と奈良美智の絵本『ベイビーレボリューション』が発売。

浅井健一率いるSHERBETSが2005年に発表したアルバム『Natural』の収録曲「Baby Revolution」が、このたび奈良美智とのコラボレーションにより絵本になった。平和への願いが込められた「30億のベイビー」という浅井の詩が、奈良の絵と出会った背景、そして浅井が言葉で描き出す世界観について、浅井本人に話を聞いた

奈良さんと浅井さんのお付き合いは長いのですか?

浅井健一 
奈良さんの絵は昔から大好きだったけれど、今から10年くらい前に雑誌で対談する機会があって。その時に、俺が名古屋で高校生だった頃、奈良さんは愛知の大学に通っていたことがわかったの。

年齢的にもそのくらいの差なんですね。

浅井 
そう。で、名古屋の藤が丘に当時〈黎紅堂〉っていう貸しレコード屋さんがあって、俺もたまに行っていたんだけど、奈良さんはそこで大学時代にバイトしてたんだって。毎日。

なんと。そんなに近いところで。

浅井 
「当時、店で会っていたかもしれないですよね」ってことが判明して。波長がたぶん合っていると思うけど、すごく親近感が湧く人。東北のロックフェスとかでたまに会うと、意気投合して飲んだりする。大好きな先輩です。

今回のコラボレーションはそういう関係がきっかけになって始まったのですか?

浅井 
この絵本の話はそれとは関係なく、2年以上前から編集の人が提案してくれていたんだよね。自分としてはすごく嬉しいからぜひって。そこから始まってついに形になったもので。最初は描いてくれる人を探すところから。

浅井さんも自身でイラストをお描きになるし絵本も作られていますけれど、この提案があった時、ご自分で描こうと思ったりはしなかったですか?

浅井 
それはなかったな。自分で全部やっちゃうよりも専門家に任せて化学反応を見たいと思ったし、その方が“コトが起きる”可能性が高いかなと思ってた。

音楽ではいろいろな方と共に作られていますけども、言葉だけでどなたかとのコラボレーションというのは初の試みですよね。

浅井 
初めてだね。今回、いろいろと幅が広がったなって思う。編集の人がいろんな描き手の方を考えてくれるなかで、「奈良さんはどうだろう」っていう話がどこかから出てきたんだよね。俺も、「もしも奈良さんが描いてくれるならそんな最高なことはないじゃん」って。そうしたら受けてくれることになって。本当に良かった。

昨年『宇宙の匂い』として本も出されて、音楽に乗っている詩ではない言葉の表現も多くなってきていますね。

浅井 
そっちは量が増えてきたね。書く頻度も昔より高くなってる。なんか素直に書けるなって思ってて、だからこのまま行ったらより面白い文章が書けるんじゃないかなって。

それは、歌詞というジャンルで?

浅井 
いや、最近新しく書いたストーリーみたいな文章が、自分にとっては読み応えがあるから、そればっかりの本が出たらいいなってふうには思ってる。世の中の本って文章がちゃんとしているんだよね。でも自分が書いたものを後から読むと、そういうのってどこにも当てはまっていないなとか思うもんだから。新しい分野に行けるんじゃないかなあ、とか。そんなような夢を小さく持ちながら、書いてはいるけどね。ノーベル文学賞。ね。
  

いいですね、この記事に書いていいですか?

浅井 
いいよ(笑)。夢見て、書いてます。

『ベイビーレボリューション』

平和が危ぶまれる今こそこの曲のメッセージを世界に響かせたいという一人の絵本編集者の思いから実現した、浅井健一と奈良美智による極上のコラボレーション。絵本とロックを愛する大人たちへ。人種もさまざまな赤い帽子をかぶった赤ちゃんたちは、この作品のために奈良によって描き下ろされた。クレヨンハウス/1,800円。

音楽と絵、言葉。それぞれの表現が混ざり合った浅井の3冊。

『SHERBET street』

2000年に発売された浅井のCD付き第1作品集。CDにはSHERBETSの演奏による音楽作品が収録されており、浅井健一の世界を存分に味わえ、ファンには伝説の一冊とされている。絵本『TED TEX』、画集『Jet Milk Hill』の原点ともいわれる世界。現在絶版。

『Let's Study』

「自分が子供の頃にはなんで勉強しなきゃいけないのかわからなかったけれど大人になったらわかることがある。かつての自分と同じくそういうことがわかってない子にも伝われば」と、浅井さんが2011年に初めて手がけた絵本。セクシーストーンズレコード/2,381円。

『宇宙の匂い』

2018年発表。BLANKEY JET CITYから、現在始動中の〈浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS〉に至るまで、27年間の楽曲から150編の詩と、新作ショート・ストーリーや日常の中での書き下ろしが綴られている。ビームス/3,000円。

浅井健一

あさい・けんいち/1964年愛知県生まれ。91年にBLANKEY JET CITYのボーカルとしてデビュー。2000年に解散後はSHERBETS、JUDEなどさまざまな形でバンド活動を展開。繊細なタッチで描かれる絵画も高く評価されている。2月28日、ソロ名義では約5年ぶりの新曲「HARUKAZE」「ぐっさり」を2曲同時配信リリース。

photo/
Kaori Oouchi
text/
Emiri Suzuki

本記事は雑誌BRUTUS887号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は887号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.887
平凡ブルータス(2019.02.15発行)

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