エンターテインメント

「20世紀最高の歌姫」のドキュメンタリーも必見です。

西寺郷太のポップ警察〜名曲・珍曲・捜査録〜

No. 886(2019.02.01発行)
死ぬまでにこの目で見たい日本の絵100

映画『ボヘミアン・ラプソディ』が、興行収入100億円突破確実の記録的大ヒット。先日、ある若者から「実はあの映画の最後のシーンまで僕は〈クイーン〉って実在しないバンドだと思ってて。で、超いい曲!ばっかりだと感動してたんです。最後の最後に、フレディたちの本人映像がスクリーンに映された時、本当に存在したバンドだったのかと驚愕して号泣してしまったんです」と言われました。
 
あの映画に関して言えば、僕(クイーンがデビューした1973年生まれ)よりさらに上のリアルタイム世代の人から「事実を捻じ曲げている」「時系列が違う」という批判が多かった気がします。なので〈クイーン〉の存在や、楽曲も知らないという若者からの感想はかなり新鮮で(笑)。ただ、よく考えてみれば、2000年代生まれにとっての1970年代は、1970年代生まれから見れば1940年代。ネットがあるので、もちろん同じように比較することはできないかもしれないですが、自分の生まれる30年前の音楽を知らないってことはありえるよなぁ、と。
 
ちなみに、僕が今、強く薦めたい「音楽映画」は、ホイットニー・ヒューストンの波瀾万丈の生涯を追いかけた『ホイットニー 〜オールウェイズ・ラヴ・ユー〜』。先輩のライムスター宇多丸さんに強く推されたこともあり、実は重い腰を上げる形で観に行ったのですが。というのもご存じの通り、正直彼女の後半生はスキャンダラスな事実の連打で気の滅入るドキュメンタリーも多い現状で。
 
1991年に亡くなったフレディ・マーキュリーは、時が経ち、ライブエイドで終わる巧みな構成の『ボヘミアン・ラプソディ』で「神格化」が完成したわけですが、ホイットニーの場合は愛娘のボビー・クリスティーナが2015年に母親を追うように同じドラッグ中毒の影響から亡くなってしまった、という痛みも含め、悲しみが消えていない状況なんです。ただし僕は、とても冷徹でフェアで、それでいて「20世紀最高の歌姫」であったホイットニーの歌手としてのすさまじさ、華やかな魅力そのものは損なってはいない素晴らしい作品だと思います。チャンスがあれば、スクリーンでぜひ!

『アルティメイト・ ホイットニー』/ホイットニー・ヒューストン

オールウェイズ・ラヴ・歌姫。ホイットニーが残した名曲の数々を辿るベスト盤。「ザ・ヴォイス」と呼ばれた唯一無二の歌声を堪能しよう。ドキュメンタリー映画は現在公開中です。


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文・題字 西寺郷太 にしでら・ごうた/3月13日、ノーナ・リーヴスのニューアルバム『未来』発売! タイトル曲「未来」先行配信中!聴いてね!

編集/
辛島いづみ

本記事は雑誌BRUTUS886号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は886号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.886
死ぬまでにこの目で見たい日本の絵100(2019.02.01発行)

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