アート

Mumbling Mud(2018)| カタリーナ・グロッセ

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 885(2019.01.12発行)
おいしいコーヒーの教科書2019
© Katharina Grosse and VG Bild-Kunst Bonn, 2018

1961年ドイツ生まれ、ベルリンを拠点に活動するアーティスト、カタリーナ・グロッセ。その華奢な体からは想像もつかないほど、彼女は巨大な物体と空間をキャンバスに、工業用のスプレーガンを使いダイナミックな作品を生み出します。廃棄物が打ち捨てられた、工事現場のようなこのインスタレーション。無機質な廃材とは対照的に、まるでオーロラのような色鮮やかな光景は、グラフィティとも彫刻とも絵画とも括ることのできない不思議な迫力があります。さて、一昔前には、男性的で明瞭、知的だと捉えられる「線」に対し、「色」は女性的で不明瞭、非知的なものだと位置づけられていました。そこでグロッセは、「“色”とは、物体の境界線をなくすもの」だと発言しています。要するに、この色のダイナミズムが、男性的/女性的、抽象/具象、マジョリティ/マイノリティ
……そういった様々な概念を取り払い、関係性を消失させてしまうということなのでしょう。色彩が空間だけでなく、考え方をも溶かしていくようです。

アートカテゴリの記事をもっと読む

文/中村志保

本記事は雑誌BRUTUS885号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は885号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.885
おいしいコーヒーの教科書2019(2019.01.12発行)

関連記事