音楽・ラジオ

コーヒーにゆかりの深い2人が、それぞれにソロアルバムを携えて登場。

BRUTUSCOPE

No. 885(2019.01.12発行)
おいしいコーヒーの教科書2019
畠山美由紀(左) 小池龍平(右)

『Butterfly』by小池龍平と『Wayfarer』by畠山美由紀、グルーヴ感溢れる2枚のニューアルバム、絶賛発売中。

小池龍平と畠山美由紀のデュオといえば、鎌倉の名カフェ、ディモンシュの堀内隆志が2012年に企画したアルバム『COFFEE & MUSIC』を思い出す。以来同じステージに立ち続けている2人に、ギターとボーカルという小編成の魅力を尋ねた。

由紀さんにはギター好きのイメージがありますが?
畠山美由紀 
私は80年代のジョニ・ミッチェルやエブリシング・バット・ザ・ガールのような、ギターとボーカルの組み合わせがとても好きだったんです。もちろんピアノも好きなんですけど、ギターの音色には滲みや揺れがあるじゃないですか。そのあたりがギターとよく組む理由かな。
小池龍平
僕は学生の頃、Port of Notesをめちゃコピーしてましたから。「more than paradise」が衝撃的で、(小島)大介さんみたいなギターを弾きたいと思って、練習するんだけどできなくて。
美由紀 
大ちゃんみたいなギターって?
龍平 
大介さんならではのニュアンスがあるんですよ。
美由紀 
たしかにニック・ドレイク的な翳があるかもね。龍平くんのギターはもう少し真っすぐというか、すごくグルーヴを感じられて一緒に演ってるとホントに愉しいのよ。
龍平 
僕はそれこそガットギター1本の小編成が大好きなんです。そんな小編成でありながら、厚みやグルーヴもしっかり出せるサウンドを作りたいと思ってます。
美由紀 
ボディヒットもうまいから、パーカッション的なグルーヴも出せるし。
龍平 
いや、そのあたりは美由紀さんのおかげがすごくあって。いろんな新しいアプローチをステージでトライさせてもらいましたから。
美由紀 
あと、声。とにかく龍平くんは素晴らしい声の持ち主で、英語の発音はネイティブ並みだし、音感もすごくいい。龍平くんは1人で何役もやってくれるから、感謝するのはこちらの方よ。
龍平 
歌もそうなんですが、僕は演奏していて気持ちいいのが好きなんです。その点、僕にとってはバンドでの演奏もボーカルサポートも変わら⇔ない。やっていることは全然違うし、それぞれ違った気持ちよさなんだけど、気持ちいいという点では共通なんです。さっき美由紀さんは僕のグルーヴ感が愉しいと言ってくれましたが、僕も一緒で美由紀さんのグルーヴィなボーカルを大事にしようと、いつも思っているんです。
美由紀 
グルーヴ感ということでいえば、今回の『Butterfly』でしょ。アコースティックだけど、ローエンドもしっかりグルーヴしてて。
龍平 
今回のアルバムは、まさにジャケットの画そのままな感じの宅録で、ほとんど自分一人で作ったんですが、普段のステージで僕が感じる気持ちよさをサウンドに落とし込めればと。だから目新しいことといえば唯一、ガットギターを2本弾いたことくらい。ボーカルとギターを担当する僕に加えて、もう一人の僕にベースラインを担当してもらったわけです。実はこれが、僕が求めてきた一つの理想の形なんです。
美由紀 
あー、そうなのね。だからサウンドに厚みがあるのか。すごくよくわかる。
龍平 
難しかったのは録音で。マイクの位置とかサウンドホールの養生の仕方とか、いろんな発見があって愉しかったけど、めちゃめちゃ大変でした。そのおかげでだいぶ時間がかかっちゃったんです。
美由紀 
でも私の『Wayfarer』は冨田(恵一)さんにお願いしてから3年だから(笑)。
龍平 
あ、失礼しました。でも、その間ライブでサポートしていた僕としては、その3年という時間が意味のあるものだと知っていますから。
美由紀 
ありがとう。こっちの場合は、大変だったのは冨田さんかもしれないけれどね。
龍平 
やっぱりすごいですよ、冨田さんは。プロデュースからトリートメントまで全部一人でやるんだから。それに美由紀さんのグルーヴィさがよく引き出されていて、僕は好きです。
美由紀 
冨田さんも龍平くんも1人で何でもやってくれるから、私は歌に専念できるのよ。
龍平 
これからも美由紀さんのボーカルとともに、グルーヴィなステージをお届けしたいと思います。

『Wayfarer』

「このアルバムを聴いて浮かんできた言葉は、ファンタスティック。美由紀さんのボーカルも冨田さんのサウンドも、素晴らしくファンタスティックです。冨田さんとつくり始めてから3年ほどかかったと聞いて、その時間に説得力を感じました。1曲目から10曲目までいろいろなディメンションを見せてくれるトータルアルバム、とても愉しい宝探しができますよ」(小池龍平・談)

『Butterfly』

「龍平くんがガットギター2本だけで作ったアルバムです。音が翼を持っているような素晴らしいヌケ感があるのはもちろんのこと、バンド編成のサウンドにも負けない奥行きも感じられて、とても洗練されたアルバムに仕上がっていると思います。これをたった一人で作ってしまうって、ホントすごい。とにかくメッチャ気持ちいいのでぜひ聴いてみてください」(畠山美由紀・談)

はたけやま・みゆき

宮城県生まれ。シンガーソングライター。1997年小島大介とのPort of Notesでデビュー、2001年よりソロとしても活躍。3月には東京大阪で発売記念ライブ予定。http://hatakeyamamiyuki.com/

こいけ・りゅうへい

1978年東京都生まれ。ギタリスト。bonobos、Little Tempoのメンバーとして活躍するほか、畠山美由紀のサポートギタリストも。ボーカリストとしても天賦の才を持つ。http://ryuheikoike.com/

photo/
Kenta Aminaka
text/
Kaz Yuzawa

本記事は雑誌BRUTUS885号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は885号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.885
おいしいコーヒーの教科書2019(2019.01.12発行)

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