クイーンの次はフィル・コリンズ再評価ブームが来る?

西寺郷太のポップ警察〜名曲・珍曲・捜査録〜

No. 884(2018.12.15発行)
危険な読書
1985年発売のソロアルバム。2,000万枚を売り上げる大ヒット。アルバムタイトルは服装がラフだったために高級レストランに入店を断られたことに由来。

『フィル・コリンズ3/ノー・ジャケット・リクワイアド』フィル・コリンズ

先月テーマに取り上げたクイーンの映画『ボヘミアン・ラプソディ』は、驚異的なヒット作に。1985年7月に開かれ世界中を熱狂の渦に巻き込んだチャリティ・イベント『ライブ・エイド』のシーンの感動から、クイーン以外の当日のステージ動画などを検索しハマっている人も多いとのこと。

その『ライブ・エイド』。ロンドン会場で一番観客が沸き伝説化したのがスタジアム受けするクイーンだったのは事実。ただし、一番「活躍」したアーティストは? という問いに答えるなら、ロンドン会場では自身がシンガーとして、フィラデルフィア会場では「レッド・ツェッペリン再結成企画」にドラマーとして参加したフィル・コリンズではないでしょうか。

70年、プログレッシヴ・ロック・バンド〈ジェネシス〉に、凄腕ドラマーとして加入したフィル。フロントマンのピーター・ガブリエルが脱退するとシンガーも兼任。80年代はソロ・シンガーとしても、そのユーモラスなキャラクターと瑞々しいハイトーンボイスを武器にヒット曲を連発しました。来た仕事を基本的に断らない主義で、異名は「世界で一番忙しい男」。僕が初めて行ったコンサートは、87年3月のジェネシス『インヴィジブル・タッチ・ツアー』大阪城ホール公演ということもあり、個人的な思い入れも深いです。

さて、ライブ・エイド当日、ロンドン会場から超音速旅客機コンコルドでフィラデルフィアまで(現在は5時間強だが、コンコルドだと3時間半)移動したフィルに、厳しい現実が突きつけられました。天才ドラマー、ジョン・ボーナムの死去から5年。ファン待望のツェッペリン「復活」でしたが、ロバート・プラントは連日のライブ続きで声がボロボロ。ジミー・ペイジはフィルたちの参加を歓迎しておらず空気は最悪。「できることなら逃げ去りたかった」とフィルは回想しています。

健康上の問題などもあり、近年ドラム奏者としてのみならず、歩くことも困難な状況にあるフィル。しかし、17歳の息子ニコラス君が父譲りのスーパードラマーに育っており、2人のメンバーさえ良ければ、ニコラス君が加入してジェネシスが再活動するかもしれないとメディアに語っています。

文・題字 西寺郷太

にしでら・ごうた/音楽プロデューサー、ノーナ・リーヴスのシンガー&ソングライター。ただいまニューアルバムをレコーディング中!

編集/
辛島いづみ

本記事は雑誌BRUTUS884号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は884号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.884
危険な読書(2018.12.15発行)

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