ライフスタイル

2018年の、本の話。

生島淳の僕しか知らないアスリートの秘密

No. 884(2018.12.15発行)
危険な読書

アメリカの作家、ジョン・アプダイクはスポーツエッセイを結構残しているが、芸談としてこんなことを言っていた。

「スポーツ・ライティングは、ボールが小さければ小さいほど、書いていて面白い」

彼にとってはバスケットよりアメフト、アメフトよりも野球、テニスの方が面白かったってこと。アプダイクがいちばん愛してたのはゴルフだったかな。

2018年も振り返りモードになったけれど、今年も小さいボールのスポーツで面白い作品が出版された。中でも『マリア・シャラポワ自伝』は、女子テニス界の赤裸々な部分が活写されていて、興味深かった。幼いシャラポワが、投資家を前に夜にデモンストレーションをさせられるのだが、テニスって経済的な意味がすごく強いんだな、と改めて実感した。

それに、トップ選手同士はロッカーの中からピリピリしているらしい。特に、ウィンブルドンの決勝で戦ったセリーナ・ウィリアムズと過ごしたロッカーでの時間については、精神的によほど図太くないと生き残れない世界だとわかった。ほわーんとしている大坂なおみは、大丈夫なのか? と余計な心配をしてしまうのであります。

それにしても、アプダイクの言葉に従うなら、書いてていちばん面白い競技って、卓球になるんじゃないか? 直径40ミリの世界。なにが書けるのか、考えてみようっと。

ライフスタイルカテゴリの記事をもっと読む

いくしま・じゅん

スポーツジャーナリスト。近著に『エディー・ウォーズ』などがある。

イラスト/
土車大八

本記事は雑誌BRUTUS884号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は884号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.884
危険な読書(2018.12.15発行)

関連記事