人生

90歳になっても殺し屋の役をやりたいね。| 宍戸 錠

TOKYO 80s

No. 884(2018.12.15発行)
危険な読書

宍戸 錠(最終回/全四回)

もともと、自分をプロデュースするタイプというかね。その当時、小道具のピストルなんかもモデルガンが少なかったので自分で調達してさ。衣装もいいのがなくて、ウエスタンブーツの装飾を自分で作ってた。ハリウッドまで観に行ってたからね。男でおおっぴらに自分のプロデュースをする、みたいなことをやったのは、俺が日本で初めてだったんじゃないかな。「頰に入れたアンコは取れるんですか?」と先生に聞いたら「顔に傷がついちゃうよ」って。「でも、傷はすぐ消せるだろ」と言ったんだ。年をとってからは辛いでしょう。頬のところだけボコっと残ってるんじゃね。だんだん重みで下がってきて、やばいと思って取ったんだ。でも、どの病院でアンコを入れたのかを覚えてなくてね(笑)。病院があった場所に行ってみたら、なくなってたよ。闇医者だったな(笑)。映画俳優でバラエティに出たのも、俺が一番最初だな。『スマスマ』も一番最初。『どっきりカメラ』があんなに長く続いたのも俺のおかげだろう(笑)。まぁ、キャリアが長いからね。今、日本映画の中で一番長いんじゃないかな? 20歳で始めて85歳だから65年。出演した映画本数も一番多いんじゃないかな。生きている中では。思い入れのある映画は何かと聞かれても、出すぎてるからわからねぇな。でも、鈴木清順さんの『肉体の門』が好きだった。人からの評価では『殺しの烙印』がいいと言われるね。清順さんも死ぬときに、『殺しの烙印』が一番いいと言ってたらしい。この間、ニューヨークまで行って舞台挨拶をしたのは『肉体の門』。もう英語はしゃべれなくなってたな。高校時代は、点数が一番やばいのが数学で、その次が英語(笑)。それがなぜか、1人で薄っぺらな辞書を2冊持ってインチキ英語で世界1周したんだけど。これから映画を作るならやりたい役はあるよ。90歳になったらリアルな90歳の殺し屋の役とかね。今でも、誰でも殺せますよ(笑)。まぁ85歳のジジイが何をやれるというんだって感じだけどね。ちょっとやってもいいな。僕は文章もうまいんですよ。映画ぐらいすぐ書けますよ。ただ、もうちょっと体を鍛えないとな。昔に比べて体は半分になっちゃったし、知能も半分くらいだし、相当、ジジイになってますから(笑)。年がら年中、考えてはいるんだけど、ダメだなぁ。でも書かなきゃいけねぇな。いっぺんな。

(了)

ししど・じょう

1933年生まれ。俳優。『拳銃は俺のパスポート』など出演作多数。

第1回第2回第3回第4回

PHOTO/
SHINGO WAKAGI
TEXT/
KUNICHI NOMURA
EDIT/
HITOSHI MATSUO

本記事は雑誌BRUTUS884号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は884号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.884
危険な読書(2018.12.15発行)

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