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水木しげるの未発表原画21枚が、ついに書籍化!

BRUTUSCOPE

No. 884(2018.12.15発行)
危険な読書
『妖怪たちのいるところ』 ©水木プロ『十 妖怪と図像 その姿かたち』より
『妖怪たちのいるところ』 ©水木プロ『一 妖怪のとき・暗闇の世界』より
『妖怪たちのいるところ』 ©水木プロ『二 妖怪が出没する場所』より
『妖怪たちのいるところ』 ©水木プロ『五 古道具・モノに籠もる霊』より

水木しげる没後3年の「ゲゲゲ忌」に合わせて、アートブックを発売中。

 2015年11月30日日本を代表する漫画家である水木しげるが、93歳でこの世を去った。小さい頃、お化けや妖怪、地獄の話をしてくれたお手伝いのおばあさんの影響で、妖怪の世界に興味を持った。爆撃で左腕を失った太平洋戦争時、水木はその壮絶な日々の中で妖怪を見たと話し、のちの漫画人生で妖怪を主に描いていくこととなる。58年に『ロケットマン』で漫画家デビューした後、『ゲゲゲの鬼太郎』や『河童の三平』『悪魔くん』などで人気漫画家となった水木しげる。

彼の漫画の影響で、世の中には妖怪ブームが訪れ、水木は妖怪漫画家として広く知られていく。ちょっと恐ろしいけど、憎めない妖怪の姿に、水木はどこか親近感を抱いていたに違いない。

 93歳で亡くなった後も、命日である11月30日は「ゲゲゲ忌」と呼ばれ、ゆかりの地では毎年イベントが開催されている。そして3年目となる2018年のゲゲゲ忌には、未発表原画を書籍化した一冊が発売された。水木しげるの絵を、民俗学者であり、妖怪学の第一人者である小松和彦氏が民俗学の観点から文章化したこの一冊は、読んでも楽しい妖怪アートブック。

ファンであっても初見となる大判の未発表作品のほか、妖怪や幽霊、妖精たちを場所という切り口で分類整理された稀少な一冊だ。「家に棲む霊」「古道具・モノに籠もる霊」「動物の霊」「植物の霊」など、165体の妖怪解説も収録。さらに豪華なのは、画家・山口晃氏による特別寄稿「ふるえる心」。一般的な絵画の鑑賞論に加えて、水木絵の楽しみ方が紹介されている。水木しげるが妖怪を愛し、描き続けた理由が、この本を読めば理解できるかもしれない。

『妖怪たちのいるところ』 水木しげるの妖怪絵を、妖怪学の第一人者である小松和彦氏が読み解き、文章化。水木しげるの未発表原画21枚のほか、165体の妖怪解説が盛り込まれた豪華な一冊は、妖怪学入門ともいえる。日本画家、山口晃による絵画鑑賞論、水木絵の楽しみ方を展開する特別寄稿「ふるえる心」も収録されている。A4判、全96ページ。KADOKAWA/3,000円。

text/
Miki Miyahara

本記事は雑誌BRUTUS884号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は884号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.884
危険な読書(2018.12.15発行)

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