ライフスタイル

文字に、単語に、解体しながら文章を読んでいく。

本を作る人。

No. 883(2018.12.01発行)
Mid-Century in Our Life

校正者 牟田都子 (第2回/全4回)

ゲラに目を通し、事実関係を確認したり、誤りを指摘したりする校正者。その作業はどんな手順で進んでいくのか?ゲラを見つめ、文字を追う校正者の頭の中で起こっていることとは?

校正者には、どうしたらなれるんでしょうか?
牟田都子 
校正という専門職を目指して新卒で出版社に入る人もいれば、編集の仕事から始めて校正も手がけるようになった人、性格的に向いていそうだとスカウトされて始める人も少なくありません。校正者に向いているのは、手柄を誇らない人。著者と編集者の思いを優先して、ゲラをより良くするためにサポートできる人だと思います。
校正の作業はどんなふうに進むんでしょうか? 一般的な読書とは違うんですか?
牟田 
読書との一番の違いは読む速度ですね。現代では「素読み校正」と言われるやり方が一般的で、ゲラに刷られた文字を1文字ずつ指先や鉛筆で押さえながら見ていくので、とても時間がかかります。旧字か新字か、正字かワープロ字体なのか、文字単位で字体を確認しながら、次に単語として見る。カッコなどの記号やルビが正しくついているかなど体裁もチェックして、さらに文章として前後のつじつまが合っているか、文脈がおかしくないかを見ていきます。確認が必要な固有名詞やデータ、言い回しなどで迷った部分に印をつけ、欄外にメモもしながら、1ページ目からおしまいまで、一文字一文字読んでいきます。最後まで読んだら、次は資料にあたって固有名詞やデータの確認をし、調べながら書き込んだ印やメモ、余計な鉛筆を消していく。こうして「素読み校正」と「調べもの」が終わったら、もう一度全体を通して読んでみる。3回通して読む、というのが基本のスタイルです。(続く

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むた・さとこ

1977年生まれ。講談社の契約社員を経てフリーランスに。ドキュメンタリー番組『セブンルール』では、校正、校閲の仕事について紹介。共著に『本を贈る』(三輪舎)がある。

写真/
角戸菜摘
文/
鳥澤 光

本記事は雑誌BRUTUS883号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は883号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.883
Mid-Century in Our Life(2018.12.01発行)

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