その他

「チリ散らばって事件なり」

戌井昭人『沓が行く。』

No. 883(2018.12.01発行)
Mid-Century in Our Life

赤いラインの先に、丸めた新聞紙を抱えた男が転がっていた。新聞紙の中には、焼芋が三本入っていた。一本は食いかけで、あとの二本は、まだ温かかった。つまり、事件が起きてから、たいして時間は経っていない模様だ。一方で、新聞紙の保温力が相当なのかもしれないという懸念が浮かんできた。ここは帰りに焼芋を買い、検証してみる必要がある。だが私は焼芋が苦手なのだ。仕方がない、芋は隣の婆さんに、おすそ分けだ。

いぬい・あきと/〈鉄割アルバトロスケット〉主宰。野間文芸新人賞受賞。著書に『ゼンマイ』(集英社)など、多数。

編集/
村岡俊也

本記事は雑誌BRUTUS883号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は883号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.883
Mid-Century in Our Life(2018.12.01発行)

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