展示

磯村暖の直近2年間の活動を凝縮した展覧会を開催。

BRUTUSCOPE

No. 883(2018.12.01発行)
Mid-Century in Our Life

LGBTQや移民、宗教などをテーマに、未知の異物との関わりを統括する。

2016年、東京藝術大学美術学部を卒業したアーティストの磯村暖。彼は在学中から各パラダイムにおける“異質なもの”を照らし出し、自身の思想に基づき、その活動の場を広げてきた。18年には、台北關渡美術での滞在制作や、タイのワットパイローンウア寺院での滞在制作、また、新木場agehaで行われたキース・ヘリング生誕60周年記念イベントでのコラボレーション、さらに香取慎吾の呼びかけによる「NAKAMA de ART」への抜擢など、社会とアートをつなぐアイコンとして注目を集めている。

この展示は彼の2年間の活動をまとめており、特に近年継続して制作に取り組んでいる重要なアートワークの一つ、「地獄の亡者像」は、会期中に作品が追加されていく。「同性愛の罪」「国籍を持たない罪」など、罪状を表面に書かれた亡者像たち。鑑賞者と同じ地表に設置され、善悪が反転する可能性を示唆している。これは、タイで1970年代以降に定着した新しい地獄表現「地獄寺」に着想を得ているという。

そのほか、在日ネパール人との協働作品『HOME PARTY, 2017』の再インストールや、LGBTQの当事者でもある磯村が同性婚をテーマに台湾で制作した『Joss Paper for the lovers, 2018』や、そこから展開されていった『LOVE NOW, 2018』、新作のドローイング作品なども展示される。社会的な違和感を取り上げる作風から発展し、様々なキーワードを組み込んで制作してきた磯村。この展示は、「LOVE」が制約される現代の社会通念や枠組みをアップデートし、不可能を可能にするための呼びかけでもある。

『LOVE NOW』

2017年、磯村暖は〈ゲンロン カオス*ラウンジ新芸術校〉の成果展覧会で金賞を受賞し、その副賞としてワタリウム美術館ミュージアムショップ〈オン・サンデーズ〉で個展を開催した。彼の1年ぶりとなる個展が〜12月24日、EUKARYOTE(東京都渋谷区神宮前3−41−3)で開催中。

text/
Saki Miyahara

本記事は雑誌BRUTUS883号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は883号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.883
Mid-Century in Our Life(2018.12.01発行)

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