美術

Beach House(1995)|ルバイナ・ヒミッド

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 882(2018.11.15発行)
続・いまさら観てないとは言えない映画。

ヨーロッパなんかでは、ビーチ沿いに木製の小屋のようなものをよく見かけます。白や黄色、ピンクなどのパステルカラーで塗られたりしちゃって、おしゃれなんですよね。バカンスの象徴みたいにして、夏の太陽の下でキラキラして見えちゃう。機能は物置だったり、小休憩所だったり、別荘だったりする、そんな「ビーチハウス」ですが、浜辺にある小屋といったら「海の家」が真っ先に思い浮かぶはずで、悔しいかな、どうも日本人には馴染みの薄いような気がします。さて、「ビーチハウス」シリーズを描いているのは、1954年英国生まれのルバイナ・ヒミッド。2017年、世界有数の現代美術賞として知られるターナー賞を受賞した作家で、1980年代に興ったレイシズムに抗う「ブラック・アーツ・ムーブメント」を担った一人でもあります。本作が黒人に対する差別を表した作品かは定かではありませんが、冬なのでしょうか、人けのない海を前にポツンと佇むビーチハウスは、孤独と広い世界の狭間に立つ一人の人間にも見えます。

文/
中村志保
© Lubaina Himid/

本記事は雑誌BRUTUS882号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は882号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.882
続・いまさら観てないとは言えない映画。(2018.11.15発行)

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