ライフスタイル

作り手の意図と使い手の感覚。未来に向けた書体作り。

本を作る人。

No. 881(2018.11.01発行)
札幌の正解
鈴木 功 (第4回/全4回)

タイププロジェクトタイプディレクター鈴木 功(第4回/全4回)

今の時代に必要とされている書体は何かを考え、まだ存在しない新しい書体を作る。社会の動き、人の好みや思い、大きなものと小さなものを見つめたその先に、新しい書体が生成される。

東京シティフォント」はどんな書体ですか?
鈴木功 
粋をキーワードに、現代の東京を表現するための書体として作りました。「金シャチフォント」とは真逆の、いなせで洗練された現代的な文字を目指して、今の、あるいはこれからの東京に馴染む文字は何だろう? と考え提案しています。
書体を使うデザイナーや媒体は、作り手の意図を汲んで書体を選ぶんでしょうか?
鈴木 
使う側はそこまで意識していないかもしれませんが、書体の第一印象を鋭く感じ取って選択しているんだと思います。だから、僕らがどれだけ使う側の感覚や好みを先取りできるか、必要とされているのに今はまだないものを見つけて、作っていけるかが大切になってきます。
今の時代に好まれる書体ってどんなものですか?
鈴木 
日本に限れば、シンプルでニュートラルな書体はこれからも続くと思います。ただここ2〜3年はシンプルへの反動もあってクセやアクの強い書体やレトロなものも支持されている。僕は学生時代からブルータスを読んでいますが、20〜30年前のドーンという強いコピーと文字の使い方と、ここ最近の書体の使い方を比べてみると、やっぱり情緒的な方向に行っているように感じます。僕らが扱うのはモニターのための書体が多いのですが、紙とモニターで起きていることの違いにも興味があって。モニターでも紙でも、デザイン的にチャレンジしたくなる書体を作りたいし、チャレンジしてほしいという思いを込めて書体を作っています。(了)

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すずき・いさお

1967年生まれ。2001年に独立してタイププロジェクトを設立。今秋、タイププロジェクトが提供するフォントを定額で利用できる「TPコネクト」というサービスを開始した。

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写真/
角戸菜摘 
文/
鳥澤 光

本記事は雑誌BRUTUS881号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は881号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.881
札幌の正解(2018.11.01発行)

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