ライフスタイル

「らしさ」の構成要素を書体デザインに取り入れる。

本を作る人。

No. 879(2018.10.01発行)
心を開放する旅、本、音楽。

タイププロジェクト タイプディレクター 鈴木 功 (第2回/全4回)

媒体や企業が求めるのは「らしさ」を表現できるフォント。書体を属性から考えてデザインを組み立て、ブランディングにつなげていく、タイププロジェクトのフォントデザイン論とは。

フォントをデザインするうえで、基になっているのはどんな考え方ですか?
鈴木功 
「AXIS Font」なら、透明感があって白場が美しい『AXIS』という雑誌の誌面イメージを出発点に、それに合うのはどんな文字だろう? と考えていきます。顔の表情や体つきなど、人間にその人らしさのもとになっている属性があるように、文字にも「書体属性」と呼ぶべきものがある。例えば「東」という文字を作るとして、横幅、余白の取り方などで文字の印象はガラリと変わります。引き締まった文字は、文章として組んだ時に文字間が空くのでバランスを取るのが難しい。ただそれも個性の一つで、正しいとか間違っているとかではないんですよね。文字の重心が高ければ軽快で都会的だし、下げていくとどっしり安定感のある文字になっていきます。
表現したいものに合わせて属性を選び取り、フォントを作っていくんですね。
鈴木 
そうですね。「書体属性」を効果的に使うことで、内容だけでなくニュアンスやムードを表すことができるようになります。重厚な声を表現するなら重心の低い文字を太めに使ったり、声の高さ低さ、しゃがれていたりクリアだったり、鈴を鳴らしたような声など、さまざまある要素をうまく表現することができるんです。同じように、雑誌やWEBの媒体、企業のパーソナリティなどに基づいて、それぞれの「らしさ」に合う書体をコーポレートフォントとして提供する。これが僕らの得意としているところです。(続く)

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すずき・いさお

1967年生まれ。タイププロジェクトを設立し「AXIS Font」でグッドデザイン賞受賞。愛知県芸術大学美術学部、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科の講師も務める。

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写真/
角戸菜摘 
文/
鳥澤 光

本記事は雑誌BRUTUS879号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は879号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.879
心を開放する旅、本、音楽。(2018.10.01発行)

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