美術

Solstice Wood(2017)|ジャック・ホイヤー

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 878(2018.09.15発行)
LONDON 服の学び場。STYLEBOOK 2018-19 A/W
© Jack Hoyer

 木々のある景色が描かれているだけで、写実的ね、うまいね、でも退屈
……。そんな一枚でしょうか。まさに、真っ向勝負で挑んだ風景画と言えそうですが、眺めているとなんだか不思議な感覚にとらわれ始めます。森の中に一人佇んでいる“私”を想像して絵を見てください(小さいですが!)。視点の高さからすると、立っているはずです。でも、ここで何をしているのでしょう。散歩の途中でしょうか、それとも深い森の中へ迷い込んでしまったのでしょうか。そう、眼前の景色だけでは私のいる場所や状況がわからないのです。さて、1946年生まれのホイヤーはLAを拠点に活動する画家です。身近な景色を描き続けていて、ビル群のある都会的な絵にしても必ず画面には木々が描き込まれているのが特徴です。この作品のタイトルは「至点の森」。
至点とは太陽が赤道から最も遠ざかる時のことですが、比喩的に「遠い森(=遠い私)」という意味なのではないかと。自分自身を知ることはできない、と言われているように思うのです。

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中村志保

本記事は雑誌BRUTUS878号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は878号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.878
LONDON 服の学び場。STYLEBOOK 2018-19 A/W(2018.09.15発行)

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