千里の道も一歩から。数万文字を生み出す書体作り。

本を作る人。

No. 878(2018.09.15発行)
LONDON 服の学び場。STYLEBOOK 2018-19 A/W
タイププロジェクトタイプディレクター 鈴木 功(第1回/全4回)
AXIS Font」を使った雑誌と書籍。一般リリース後は『AXIS』以外の媒体や書籍でも使われるようになった。
フォントのバリエーションの一例。
雑誌で、本で、街や家で、暮らしの中で絶えず目にしているたくさんの文字。意味ある言葉を形にして見せる「書体」とは、どのように作られ、選ばれ、使われているのだろうか?
千里の道も一歩から。数万文字を生み出す書体作り。
——漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベットから数字まで、生活の中に溢れる無数の文字。この文字は、書体は、どんなふうに作られるんですか?
鈴木功 僕の代表作とも言える書体が、雑誌『AXIS』のための「AXIS Font」です。32歳で独立してタイププロジェクトで手がけた最初の書体で、何よりも、一つの雑誌のために専用書体を作る、媒体のパーソナリティにぴったりと合うものを作れる、というアプローチに惹かれたのを覚えています。
——「AXIS Font」は全部で何文字あるんですか?
鈴木 書体にはスタンダードとプロという、大きく分けて2種類のセットがあって、スタンダードならアルファベットまで含めて1万字弱。プロは1万5000字ほど作る必要があります。さらにウェイトといって、文字の太さのバリエーションもあり、「AXIS Font」の場合は太さが7つあったので、スタンダードだけで7万字近くですね。当時は僕1人だったので、基本の漢字と仮名を作り終えるまで1年以上かかりました。完成して雑誌で使われるようになってからも『AXIS』の誌面を毎号チェックしては調整を加え、修正する、というのを2年間続けました。この微調整はクライアントに頼まれたわけではなかったんですが、実際に誌面で書体を見てみるとモニターで1文字ずつ見ているのとは違って、サイズや文字の組み合わせなどで、どうしても気になる点が出てきてしまう。少しずつ少しずつ調整して、2年後にやっと一般向けにリリースしました。(続く)

タイププロジェクトタイプディレクター
鈴木

すずき・いさお/1967年生まれ。アドビシステムズにタイプデザイナーとして勤務後、2001年にタイププロジェクトを設立。オリジナルフォントやコーポレートフォントを開発、提案する。

photo/
角戸菜摘
text/
鳥澤 光

本記事は雑誌BRUTUS878号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は878号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.878
LONDON 服の学び場。STYLEBOOK 2018-19 A/W(2018.09.15発行)

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