音楽・ラジオ

アイドルになるにはなにより「運」が大事です。

西寺郷太のポップ警察〜名曲・珍曲・捜査録〜

No. 878(2018.09.15発行)
LONDON 服の学び場。STYLEBOOK 2018-19 A/W
アイドルは制服が基本です。1期生22人が全員参加した3枚目のシングル。作詞は秋元康、作曲は大河原昇。楽曲のセンターポジションは間島和奏。ジャケ違いはA〜Eまで5種類。

「好きで好きでしょうがない」ラストアイドル

昨年夏、秋元康さんがテレビ朝日と立ち上げたオーディション番組『ラストアイドル』のPRに参加しました。1980年代の〈おニャン子クラブ〉から、現在の48グループ、坂道シリーズまで、女子アイドルの歴史を牽引されてきた秋元さんの仕事術を知れるチャンスと思い、引き受けました。当初のルールは挑戦者が暫定メンバーから1人を「指名」し一騎打ち、勝ち残った7人のみがデビューできるというもの。勝敗がたった1人の審査員に委ねられるのもポイントで、多数決ではないことが秋元さんの狙いだったそう。実際、ほかの3人と違う判定を下したギュウゾウさんや吉田豪さんはSNSで叩かれ、大炎上していました(笑)。でも豪さんが落としたことから、長月翠さんというスターが生まれたりもして。僕は、アイドルって何より「運」が大切だと思ってるんです。顔が可愛く、スタイルが良く生まれたこと、それだけでまず運がいい。ただしその上で大切なのは、事務所選びや、企画や仲間との出会いのタイミング。でも不条理な世界の中で押し寄せる不幸やピンチ、混乱の中でこそ垣間見える、その子自身の輝きをファンの方々はきちんと見ています。そして、応援する! 押し付けでない「秘宝探し」にこそ醍醐味があるんだなぁ、と今回プロジェクトに少しだけ関わり勉強することばかりです。秋元さんは、自分のセンサーを持ち込まず、時代の審美眼を信じ、本人の「運」を様々な試練の中で表出させていく。番組収録のステージ裏で初めて秋元さんにお会いした時「これ、落ちた子の方が人気出ますよね?」と僕に話しかけてこられました。最初のアイデアにこだわらない姿勢に驚きましたが、言葉通り即座に当初の「7人のみデビュー案」は撤回。現在1期生は22人で活動し、5つのユニットに分かれ切磋琢磨しています。先日、1年ぶりに審査員として参加すると、各ユニットによるシングル表題曲をかけた戦いが……。ゼロの状態を知っているので成長に本気で感動しちゃって(笑)。ちなみに秋元ワークスでは「真っ赤な自転車」と「Everyday、カチューシャ」、今回の「好きで好きでしょうがない」が僕の個人的ベスト3です!


にしでら・ごうた/ノーナ・リーヴスのシンガー&ソングライター。10月17日、プロデュースした寺嶋由芙「君にトロピタイナ」発売!

edit/
辛島いづみ

本記事は雑誌BRUTUS878号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は878号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.878
LONDON 服の学び場。STYLEBOOK 2018-19 A/W(2018.09.15発行)

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