ライフスタイル

モノとしての魅力を湛えた本作りへの飽くなき挑戦。

本を作る人。

No. 877(2018.09.01発行)
わかる?楽しい!カッコいい!!「刀剣」

誠製本 代表取締役 阪井英之

製本とは、本作りの最終仕上げ。本とは商品であり、作品でもある。本を書く人、作る人の並々ならぬこだわりに、熱い思いと緻密な造本設計で応え、職人の確かな技術で形にする。誠製本だからこそできる製本の話。

上製本の作り方、しおり紐の続きを教えてください。
阪井英之 
背表紙が平らな「角背」はそのまま、カーブする「丸背」なら「丸み出し」と「パッキング」が続きます。背表紙と本体に隙間がある「ホローバック」、接着させた「タイトバック」など、背の形によって作業は少しずつ変わりますが、続けて寒冷紗と地券紙を膠で貼って背に強度を加え、花布で装飾します。本の中身に糊を付けて表紙でくるんだら、次は背の近くに溝をつけて圧着する「いちょう締め」。膠が乾燥したらカバーや帯をかけて完成です。
特殊な造本や豪華本を作ることも多いと聞きました。
阪井 
最近では、出版点数の減少にも比例して、本が贅沢品になってきている。そんなわけで、モノとして所有欲をくすぐるような凝ったデザインの本が増えているんだと思います。うちでは、袋綴じになったフランス装、本の上部の紙の高さを揃えない天アンカットも作れば、糸綴じした背をむき出しにするコデックス装なども手がけます。人間国宝・志村ふくみさんの織物を使った背つぎ表紙、背以外に金箔を貼る三方金や箔押しを施した豪華本、活版印刷の本も扱います。デザイナー、編集者、著者の思いを、必ず形にしてみせる と、暑苦しいくらいの気持ちで本を作っています。(了)
表紙の箔押しは、1部ずつ手作業で。
布のカバーに箔押しを施した専門書。
折られた薄紙カバーの中には、ブルーノ・タウトの作品を配した世界地図が。

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さかい・ひでゆき/1976年生まれ。出版社勤務を経て2010年から誠製本の3代目代表取締役に就任。職人の技に、新しい製本技術も取り入れながら、特殊製本や豪華本も多く手がける。

第1回第2回第3回

photo/
角戸菜摘
text/
鳥澤 光

本記事は雑誌BRUTUS877号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は877号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.877
わかる?楽しい!カッコいい!!「刀剣」(2018.09.01発行)

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