アート

BUTTER TOAST(2016)|今井 麗

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 875(2018.08.01発行)
みんなで集まる場所のつくり方。居住空間学 再生編
© Ulala Imai

 1982年生まれの画家・今井麗が描く、食卓の風景や日常のなにげない場面を切り取った油絵は、どれもほっこりとして、ふと心が緩んでしまう魅力をもっています。写真家・植本一子の著書『かなわない』のカバー絵としても話題になった、バタートースト。シリーズ最新作は、お皿のブルーが爽やかな一枚です。そして何といっても山型食パンの存在感。この「山食」は角型食パンとは違い、蓋を使わずに焼かれることで独特の“山”が完成するわけで、ちょっと歪なのがいい具合です。そこに分厚いバターがポテッと置かれて、さあこれから溶けだすぞ、と。かじれば焼けた端っこの欠片がパラパラッと散らばる感じ。一人で食べるんでしょうか、向かいには誰かいるんでしょうか。いろいろと気になりますが、そんな朝のひとときは正味15分ほどでしょう。でも、ここでは永遠のように時が流れ、あるいは永久に止まっています。昨日が楽しくても悲しくても、また朝は来る。「永遠と一日」をこの一枚のバタートーストに感じてしまうのです。

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文/中村志保

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中村志保

本記事は雑誌BRUTUS875号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は875号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.875
みんなで集まる場所のつくり方。居住空間学 再生編(2018.08.01発行)

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