平面の紙を立体物に生まれ変わらせる製本加工。

本を作る人。

No. 875(2018.08.01発行)
みんなで集まる場所のつくり方。居住空間学 再生編
広い空間に大きな機械が並ぶ。
神谷美恵子『生きがいについて』は1966年の刊行以来のロングセラー。
取締役の阪井雅子さん。3代目の兄を支える。
誠製本代表取締役阪井英之
本は、印刷されたのちに製本加工されることで初めて本としての形を持つ。美しい製本で知られる誠製本を訪ね、断裁や丁合などの用語解説とともに、製本の基礎を教えてもらった。
平面の紙を立体物に生まれ変わらせる製本加工。
──執筆、編集され、印刷された紙の束を綴じて一冊の本ができる。製本の仕組みってどのようになっているんですか?
阪井英之 製本業は、出版という業界の中におけるもの作りの現場です。日本の製本技術の高さは世界にも知られていて、国内には製本会社がたくさんあります。誠製本は1951年に祖父が立ち上げ、父が跡を継ぎ、現在は3代目。中央経済社さんや吉川弘文館さんとは創業時から60年以上のお付き合いです。専門書、実務書、人文書や小説、詩集を中心に、現在は1年間で上製本を700〜800点、並製本を1000点ほど作っています。それぞれの部数は数えていませんが、新刊、重版を合わせてそれくらいになりますね。
──上製本並製本の違いを教えてください。
阪井 上製本は本の中身を糸や糊で綴じ、厚い表紙で包んで仕上げる、いわゆるハードカバーですね。並製本はソフトカバー。雑誌やパンフレット、コミックスなどがこちらの部類です。
──本の構造が違うと、製本の手順も変わるんですか?
阪井 はい。ただし、印刷会社から届く「刷本」と呼ばれる紙を突き揃え機で揃えて断裁、所定のページ数に折り、それを重ねて「丁合」をとる。この下ごしらえまでは、どちらも同じ手順で進みます。(続く)

さかい・ひでゆき/1976年生まれ。出版社勤務を経て2010年から現職。「100年後も残るような上質な本を作る」ことを目標にする誠製本は、造本装幀コンクール最優秀賞の受賞歴も。

photo/
角戸菜摘
text/
鳥澤 光

本記事は雑誌BRUTUS875号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は875号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.875
みんなで集まる場所のつくり方。居住空間学 再生編(2018.08.01発行)

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