ライフスタイル

版画のごとく刷られて、質感のある文字が姿を現す。

本を作る人。

No. 874(2018.07.17発行)
LIFE IS PARK!

FUP—ファースト ユニバーサル プレス代表 溪山丈介

刷ればわかる、活版印刷の魅力。文撰、植字を経て、ついにゴールが見えてきた。半世紀近く働き続ける印刷機を動かして活版を印刷する。完全な均一を目指すオフセット印刷とは質の違う、活版印刷ならではの文字とは。

植字(ちょくじ)の次はいよいよ印刷。印刷の手順を教えてください。
溪山丈介 
印刷機の版盤に組版を置いて固定します。インクを均一にのばしてから活字にインクをつけ、紙にプレスします。
ローラーでインクをのばしたりバレンで擦ってインクを定着させたり、版画みたいですね。
溪山 
原理は一緒です。2色以上で刷る場合は、版ごとにインクの色を変えて重ねていくので、本当に版画と同じなんですよ。印圧の度合いも調整できるので、厚い紙に凹凸をつけるように印刷することもできます。
一つの組版からは、何部くらいまで刷れるんですか?
溪山 
原版を使う場合は5000部。それ以上も刷れますが、字が太ってしまうんです。刷り始めは細すぎで、角が取れ、墨が乗ってくるのは1000部くらいから。最近は部数が少ないので、これからいいところなのにもったいない と叫びたくなることもしばしばです(笑)。
印刷後に原稿の修正が入ったらどうされるんですか?
溪山 
直します 文字が増減したら直し、行やページをまたいだものもすべて組み換えます。
最後に、溪山さんにとっての活版の魅力を教えてください。
溪山 
存在感のある印刷物が出てくること。いいか悪いかは別にしても、やっぱりこれを残していきたいですね。(了)
植字職人から受け取った組版を固定する。これが動くと印刷がずれてしまう。
数秒で印刷された紙が送り出されてくる。
刺などの印刷は小さな機械で。

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たにやま・じょうすけ/1968年生まれ。2013年にFUP|ファーストユニバーサルプレスを設立。7月27日〜29日に東京・神保町で開催される活版印刷のイベント『活版TOKYO』にも参加する。

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photo/
角戸菜摘
text/
鳥澤 光

本記事は雑誌BRUTUS874号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は874号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.874
LIFE IS PARK!(2018.07.17発行)

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