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TEMPELHOFER FELD

世界の公園とライフスタイルの最新。

No. 874(2018.07.17発行)
LIFE IS PARK!
いい風の吹く日は丘ウィンドサーファーや本格的な凧揚げをする人が訪れる。周りには高い建物もなく、ぶつかる心配もない。
グリルエリアは敷地内に3ヵ所。子供から大人まで多国籍な人たちが気軽に集う人気のスポット。
屋根のついた飛行機発着の搭乗エリア跡。
滑走路は公園になってからランナー、スケーター、サイクリストに開放されている。
敷地内ではイベントも多く、どこでもピクニックが気軽にできる。
公園の各入口付近に掲示された案内図。5広々とした建築の空港建物内メインホール。6野菜や植物を育てるクラインガルテンも併設。
広々とした建築の空港建物内メインホール。6野菜や植物を育てるクラインガルテンも併設。
野菜や植物を育てるクラインガルテンも併設。

空港跡地が生まれ変わった巨大スケールの公園。

 長さ1・2㎞とヨーロッパ最大の建築物といわれるテンペルホーフ空港は1941年、ナチス時代に改修された。戦後、冷戦下の48年に、ソ連軍が鉄道と陸路を封鎖するベルリン封鎖があり、この空港には当時、米軍が食料や物資を西ベルリン市民のために1年間、空輸した歴史がある。東西統一後2008年には空港としての役割は終了した。
 20世紀の激動の歴史の舞台となったこの空港跡地は10年5月、滑走路周りの敷地すべてが市民に無料に開放され公園に生まれ変わった。東西南北に地下鉄2駅分ほど延びる広さ。滑走路をマラソンや自転車、ローラースケートで走れる。ドッグランもあり、近所に住むワンちゃんたちも駆け回り、大喜び。スケートボード、サッカー、卓球、バスケットボールを楽しめる施設も充実している。
 冬が長いベルリンで夏季はアウトドアイベントが多く、演劇、レクチャー、市民団体や企業がオーガナイズするイベントが開催される。クラインガルテン(市民農園)ではアパート暮らしで庭のない近所の住宅に住む親子が、季節のいい間、土に触れながら、実際に食べられる野菜を育てる。
 大勢が気持ち良く公園を楽しむのには様々なルールもある。例えば、グリルエリアでは芝生を焦がさないよう地上20㎝以上の高さの調理器を用意すること、敷地の南側の自然保護や芝生を生やしている状態の立ち入り禁止エリアには入らない、サインがある場所では犬にリードをつけるなどなど。
 現在、空港建物の一部が難民のために開放され、敷地の一角には難民のコンテナ仮設住宅が併設、小さな村が出来上がった。時代の変化に対応し、常に新しい動きが展開することもテンペルホーフ公園だからこそ、できることなのだ。

photo/
Manami Takahashi
text/
Yumiko Urae

本記事は雑誌BRUTUS874号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は874号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.874
LIFE IS PARK!(2018.07.17発行)

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