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INN THE PARK

多様化する公園。

No. 874(2018.07.17発行)
LIFE IS PARK!
〈愛鷹運動公園〉の一角に設置された球体の吊りテント。地元のツリーハウスビルダーが設置に協力。安定性は想像以上に高い。
森に点在するドームテント。近く には小川が流れ、ホタルも飛ぶ。
既存の施設をリノベーションした宿泊棟。敷地内に4棟ある。
宿泊棟内部。建物の構造や間取り はそのまま、内装を新たにした。
球体の吊りテント内部。木漏れ日を映すドーム天井が心地いい。
三島〈ベーカリーつみき〉のパンかんなみや函南〈フライパン〉のスープなど県内の人気店の食も楽しめる。
〈愛鷹運動公園〉の芝生広場。

泊まれるパークリゾート。

 森の中に点在する真っ白なドー ムテント。木々の間に浮かぶ球体の吊りテントは夢のツリーハウスか、はたまた宇宙船か。いやがうえにもテンションが上がる。
 日本初の“泊まれる”公園として注目を集める〈INNTHEPARK〉は、静岡県沼津市の北、愛鷹山の麓にある。オープンは昨年10月。近隣の子供たちに30年以上愛されてきた〈少年自然の家〉が民間に貸し出さ れることになり、公募に名乗りを上げた設計事務所〈オープンエー〉が まったく新しいタイプの複合宿泊施 設へとリノベーションした。
「最初にここを訪れたとき、一番魅力的に感じたのは施設の目の前に広がる〈愛鷹運動公園〉の素晴らしい 環境でした。なだらかな起伏のある 芝生広場や手入れの行き届いた絵のような樹木。その公園全体を楽しむ ことができる計画に知恵を絞りました」と代表の馬場正尊さん。
 かつて大食堂だった建物の窓を広げ、公園ビューの開放的なカフェを設けたり、飯盒炊爨のかまど場を見晴らしのいい屋外ダイニングにしたり。そして、何よりのチャレンジだったのが、借り受けた元少年自然の家の敷地を越え、市が管理する〈愛鷹運動公園〉の一角に宿泊用のテントエリアを設けたこと。現行の法律では、公共の公園に泊まるというのは、極めて難しい。
「テントエリアは市からの部分的、かつ一時的な設置許可という形で実現しています。企画設計、そして運 営は僕らだけど、ここでの試みはすべて、公園全体を盛り上げようとする沼津市の理解や協力があってこそ。 市とのコラボレーションという実感があります。あれはダメ、これもダメという公園の禁止事項の究極が “泊まる”。でもそれをみんながハッピーな形で実現できたら、公園の可能性はもっと広がるはず」
 広い広い公園の中ではボール遊び をするもよし、木陰で本を読むもよし、遊び疲れた後は、お風呂に入り、地元食材が並ぶ本格ディナーを楽しむ。ここはビーチリゾートならぬ、パークリゾート。目立った遊具はない代わりに、穏やかな自然があり、みんなが立ち寄れる気軽さと自由がある。自然遊びの入門教室も定期的 に開催されている。

静岡県/沼津市

photo/
Futoshi Osako
text/
Tami Okano

本記事は雑誌BRUTUS874号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は874号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.874
LIFE IS PARK!(2018.07.17発行)

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