Walking in Melbourne.10. 2018(2018)|ジュリアン・オピー

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 873(2018.07.02発行)
福岡の正解
© Julian Opie

 イギリス現代美術家、ジュリアン・オピー(1958〜)。80年代アートシーンの新星として一躍注目を浴び、いまでは世界中の主要な美術館に作品が収蔵されています。シンプルな太い黒線で縁取られた人々の絵は、誰もが一度は見たことがあるのではないでしょうか(Blurの『ザ・ベスト・オブ』のジャケになったイラストも有名!)。丸い顔はのっぺらぼう。その下に首はなく、手足も省略されています。それでも、それぞれの人が纏う服や肌の色、髪形などから、なんとなく人物像が浮かび上がってくるのが不思議です。この作品では、メルボルンの暑い日差しのなかを行き交う若者たちが描かれ、カフェやショップが立ち並ぶ賑やかな通りの風景までが見えてくるよう。これまでオピーの作品は「省略の美」や「ミニマル」という言葉で形容されてきましたが、画面には「想像力」という無限の情報が詰まっているのでしょう。しかし、同時に疑問も湧いてきます。情報をどこまで削ったら、人は人を人として認識できなくなるのか、と。

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中村志保

本記事は雑誌BRUTUS873号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は873号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.873
福岡の正解(2018.07.02発行)

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