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“文撰"に続く“植字"職人の仕事は、面を作ること。

本を作る人。

No. 873(2018.07.02発行)
福岡の正解

文撰”から“植字”へ。次なる段階で登場するのは、木ベラのような「インテル」と金属片のような「クワタ」。込めものと呼ばれるこの道具が、集められた活字を版面へと変貌させる。

文撰箱に集められた活字は、どんなふうにしてページの形に整えられていくんですか?
溪山丈介 
“文撰”の次は“植字”です。植字はショクジじゃなくてチョクジと発音する、活版屋の符丁の一つですね。本文を組む場合は、編集者やデザイナーが指定した版面に従って作業を進めます。版面というのは組版の大きさで、本文、タイトルや見出し、ノンブルと呼ばれるページを表す数字まで、紙の上に文字が載る範囲のこと。1行ごとの文字数、1ページごとの行数が指定されているのでそれに合わせてサイズを測り、活字の間に「インテル」と「クワタ」を入れ込んでいきます。
インテル」や「クワタ」はどこに挟まれるんですか?
溪山 
行間を作る「インテル」、文字間を調整する「クワタ」は、活字よりも低くなっているので印刷された紙面には写りませんが、実はすべての行と文字の間に入っています。小説など、本文がズラーッと続くページの場合は、1ページに何十行あろうとも、全角、二分、四分など何種類もの「クワタ」を挟んで行の長さを揃えていきます。句読点や括弧などの記号が行末にきたときに、どう処理するかという禁則も出版社や媒体によって異なるので、後はもう植字の人間の知識と理解力次第。職人の腕の見せどころです。(続く)

溪山丈介
たにやま・じょうすけ/1968年生まれ。2013年にFUP|ファーストユニバーサルプレスを設立。7月27日〜29日に東京・神保町で開催される活版印刷のイベント『活版TOKYO』にも参加する。

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photo/
角戸菜摘
text/
鳥澤 光

本記事は雑誌BRUTUS873号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は873号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

No.873
福岡の正解(2018.07.02発行)

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