エンターテインメント

怪奇!猟奇!林奇!ツイン・ピークス3。

滝本誠のCAFÉ NOIR

No. 873(2018.07.02発行)
福岡の正解

 27年前に起こったツイン・ピークス・ブームは同じくWOWOWで放映されたもののさすがにブーム再燃とはいかなかったようである。まあ、世界のどこでも同じような結果に終わったようだ。27年前はこれまた世界中が同じように、大袈裟にいえばだれもがツイン・ピークスの噂をしていた。これが時の推移であろう。
 さて、作品はブルーレイ8枚組セット『ツイン・ピークス リミテッド・イベント・シリーズ』(1枚は信じがたい長時間のメイキング映像)に移行し、DVDレンタルも開始された。
 WOWOW放映中は、おそろしいほど周辺では誰もみていなかったが、怪奇 猟奇 新奇 林奇 の、SFオカルト・コミックス的な怒濤の展開が、これがあのツイン・ピークスの続編? わけわかんない、という反応を引き起こし、お手上げ離脱が相次いだことは理解できる。ちなみに、最後の林奇はリンチの中国語表記である。奇なる林とは、ツイン・ピークスの闇そのものですばらしい。
 今回、ショウタイムは、金は出すが口を出さないをつらぬき、全権をデイヴィッド・リンチ(&脚本家マーク・フロスト)に委ねた。その結果生まれた、エピソード8の、原爆実験の映像のアヴァンギャルドは、TV、配信を問わず、放送史に残るものとなった。
〈シーズン3〉の、際立った特徴としてあげられるのは、〈ロードハウス〉のステージに、リンチ・セレクトのミュージシャンが大挙出演して、を添えたことだろう。なかでも、最初のゲストとして名を挙げたのがクロマティクスである。このグループのリーダーのジョニー・デュエルは、とにかく、根っからのリンチ・ファン、ツイン・ピークス・マニアで、アルバム『チェリー』あたりから、リンチに目をとめてもらおうと、シグナルを発信してきた。リンチも彼らに応え、めでたくゲスト第1号。そのデュエルが、『Themes for Television』アルバムをリリース。これはシーズン3に寄り添いつつ、自分の音楽で世界を別に構築しようと試みたもので、曲名に納得の作品解釈がある。文字通りのプロのファンだ。

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たきもと・まこと/東京藝術大学卒業後、編集者に。近著に『映画の乳首、絵画の腓 AC 2017』(幻戯書房)。

本記事は雑誌BRUTUS873号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は873号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.873
福岡の正解(2018.07.02発行)

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