モーラム酒店/Bangera's Kitchen

グルマン温故知新

No. 872(2018.06.15発行)
新・珍奇植物

もっとディープに! マニアックなご当地エスニック。

一口に「日本料理」と言っても、北から南まで、土地に根ざした料理があるのは言わずもがな。インドやタイだって、エリアごとによく食べる食材やスパイス、調理法は違って当然。日本ではまだ珍しい、両国の知られざるご当地料理専門店が登場です。

ガイヤーン パクチーやナンプラー、ニンニク入りのタレに鶏肉を漬け込んでグリルする一品は、イサーンの代表的な料理。800円。焼き上がるまでに約20分かかるので、早めに注文を。そのままでもいいが、唐辛子やココナッツシュガー入りのソース「ナムチュム」をつけたり「カオニャオ(もち米)」400円と一緒に食べても。

モーラムマッサマンカレー 「マッサマンカレー」は本来鶏肉を入れる南部のカレーだが、ここでは店名の“モーラム”にひっかけて羊肉を使っている。ジャガイモとピーナッツが入るのが特徴でマイルドな味わい。740円。ご飯200円はタイ米を使用。

ソムタム・プー イサーン発祥の名物料理「ソムタム」に、サワガニの塩漬けをトッピングしたもの。細くカットした青パパイヤを、甘さを抑えて唐辛子をたっぷり入れた田舎風のタレで和えたサラダは刺激的! 850円。カニなしなら650円。

料理自慢のナイさん(写真)、ジュウさんの2人が腕を振るう。右/タイの映画のポスターが飾られ、イサーンの音楽が流れる店内。

タイの映画のポスターが飾られ、イサーンの音楽が流れる店内。

モーラム酒店

神泉

パンチの効いた、タイ・イサーンの男料理!

 店名の「モーラム」とは、タイの東北地方であるイサーンに伝わる音楽。歌というよりは抑揚をつけて語る、日本の「詩吟」のようなものだが、それをBGMにイサーン料理を楽しめる気軽な酒場が、神泉駅の踏切沿いに、今年オープンした。
 イサーンは農村地帯。田んぼや畑での仕事を終えて帰った男たちが、思い思いに作る酒のつまみによく登場する料理が揃っている。下味をつけて焼いた鶏肉「ガイヤーン」や、青パパイヤのサラダ「ソムタム」はその代表格。ほかにもイサーン生まれの発酵ソーセージの「ネーム」や、挽き肉とハーブのサラダ「ラープ」など、塩が効いていてお酒の進む小皿料理が充実。
 一般的なタイ料理店で食べられるメニューはバンコク式のやや甘めの味つけが多いが、ここでは唐辛子をしっかり使ったイサーンならではの味つけを貫く。お酒は、タイのビールやウイスキーから、ホッピーやバイスサワーまで。飲みすぎにご注意!

マサラフライ 1尾丸ごとのマナガツオに、スパイス入りのマサラソースを絡めて炒め焼きにしたダイナミックな一皿。淡泊な白身の味わいを重層的な風味のソースが引き立てる。2,020円。魚種はほかにロブスターやカサゴなどが。また、ソースにミントとコリアンダーを加えて爽やかに仕上げる「グリーンマサラフライ」も。

バサレカドレ 黒いヒヨコ豆とホウレン草を使ったまろやかなカレーも、マンガロールの伝統料理の一つ。1,500円。水に漬けた米をペースト状にして薄く焼き上げたニールドーサ610円(2枚)につけて食べるのがおすすめ。

マンガロールビリヤニ 他エリアのビリヤニと比べると、スパイス使いが穏やかなのがマンガロール式の特徴。写真の、カジキマグロ入り1,820円のほか、マナガツオやエビといったシーフードを使ったビリヤニは、都内ではかなりレアだ。

バンゲラさんが連れてきた、マンガロール4ツ星ホテル出身のシェフが腕を振るう。

店内は落ち着いた雰囲気。

Bangera's Kitchen

銀座

魚が主役!な、インド・マンガロール料理を。

「インド料理の定番メニューはバターチキン、ナン、ラッシー」というイメージを、鮮やかに覆される。メニューに並ぶのは、インドの南西部・カルナータカ州にあるアラビア海に面した都市・マンガロール地方の料理。だから、この3品に代表される北インドの料理とはまったく異なり、魚介類を使うレシピが多い。また、味つけにはコリアンダーシードやクミン、ココナッツミルクを多用し、複雑かつマイルドな味わいが特徴だ。
 彼の地出身のオーナー、バンゲラ・プラシャントさんが、お酒のつまみにもなる、ふるさとの味を出す店が東京に欲しくて一念発起。腕の良いシェフを現地で探して、起業した。
 カレーは「ガッシ」、炒め料理は「スッカ」など名称もこの地方特有。揚げパンなどの軽食や、ノンアルコールのマンガロール式カクテルも多様に揃い、おいしい+知らなかった食文化に触れられる、楽しいニューフェイスだ。

photo/
Hisashi Okamoto
text/
小石原はるか

本記事は雑誌BRUTUS872号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は872号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.872
新・珍奇植物(2018.06.15発行)

関連記事