もっとディープに! マニアックなご当地エスニック。
一口に「日本料理」と言っても、北から南まで、土地に根ざした料理があるのは言わずもがな。インドやタイだって、エリアごとによく食べる食材やスパイス、調理法は違って当然。日本ではまだ珍しい、両国の知られざるご当地料理専門店が登場です。
モーラム酒店
●神泉
パンチの効いた、タイ・イサーンの男料理!
店名の「モーラム」とは、タイの東北地方であるイサーンに伝わる音楽。歌というよりは抑揚をつけて語る、日本の「詩吟」のようなものだが、それをBGMにイサーン料理を楽しめる気軽な酒場が、神泉駅の踏切沿いに、今年オープンした。
イサーンは農村地帯。田んぼや畑での仕事を終えて帰った男たちが、思い思いに作る酒のつまみによく登場する料理が揃っている。下味をつけて焼いた鶏肉「ガイヤーン」や、青パパイヤのサラダ「ソムタム」はその代表格。ほかにもイサーン生まれの発酵ソーセージの「ネーム」や、挽き肉とハーブのサラダ「ラープ」など、塩が効いていてお酒の進む小皿料理が充実。
一般的なタイ料理店で食べられるメニューはバンコク式のやや甘めの味つけが多いが、ここでは唐辛子をしっかり使ったイサーンならではの味つけを貫く。お酒は、タイのビールやウイスキーから、ホッピーやバイスサワーまで。飲みすぎにご注意!
Bangera's Kitchen
●銀座
魚が主役!な、インド・マンガロール料理を。
「インド料理の定番メニューはバターチキン、ナン、ラッシー」というイメージを、鮮やかに覆される。メニューに並ぶのは、インドの南西部・カルナータカ州にあるアラビア海に面した都市・マンガロール地方の料理。だから、この3品に代表される北インドの料理とはまったく異なり、魚介類を使うレシピが多い。また、味つけにはコリアンダーシードやクミン、ココナッツミルクを多用し、複雑かつマイルドな味わいが特徴だ。
彼の地出身のオーナー、バンゲラ・プラシャントさんが、お酒のつまみにもなる、ふるさとの味を出す店が東京に欲しくて一念発起。腕の良いシェフを現地で探して、起業した。
カレーは「ガッシ」、炒め料理は「スッカ」など名称もこの地方特有。揚げパンなどの軽食や、ノンアルコールのマンガロール式カクテルも多様に揃い、おいしい+知らなかった食文化に触れられる、楽しいニューフェイスだ。
- photo/
- Hisashi Okamoto
- text/
- 小石原はるか
本記事は雑誌BRUTUS872号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は872号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。