アート

Mirror Bones(2018)|ジニー・ケイシー

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 871(2018.06.01発行)
CAMPとHIKE 頼れる道具
©Ginny Casey

 ニューヨークを拠点に活動する画家ジニー・ケイシーの描く絵は、温もりのあるタッチと色彩で、絵本のような愛らしさが特徴です。この作品では、肋骨らしき形をした物体があり、そのうちの1本が折れて横たわっています。赤く塗られたうえにブヨブヨとした質感を思わせるので、大腸か何かほかの臓器にも見えてきます。その様子を隣で眺めているのは、手を生やした鏡のような物体。この鏡が小豆色なのも、なんだか臓器みたいです。その体勢からしても、2つの臓器は何か話をしているよう。きっとこんな感じでしょうか。「ねえ、ちょっと、大事なところが折れちゃったんだけど、体の一部が欠けた自分の姿って見たことある?」「うん、ないね。僕が鏡らしくなってあげるから、映して見るといいよ」「何も映ってないよ。そもそも君は誰なの?」「そして君も誰?」。ええ、自分の内臓(=内側)を見たことがある人ってそういないはず。自分のことをよく知っていると信じている人ほど、鏡には何も映らないのかもしれません。

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中村志保

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中村志保

本記事は雑誌BRUTUS871号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は871号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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CAMPとHIKE 頼れる道具(2018.06.01発行)

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