ライフスタイル

活版印刷の魅力を伝える。

本を作る人。

No. 871(2018.06.01発行)
CAMPとHIKE 頼れる道具
活字を収めるスライド式ケース。
ゲラと呼ばれる木箱。活字の組版をここに入れて運ぶ。
活字の母型。ここに鉛合金を流し込み、活字を作っていく。
FUP—ファーストユニバーサルプレス代表溪山丈介

FUP—ファースト ユニバーサル プレス代表 溪山丈介

産業としての活版印刷を途絶えさせないために。明治10(1877)年以降、日本で本格的に普及した活版印刷。写植やオフセット、デジタル印刷の波に呑まれマイナーな存在になるものの、独特の風合いや存在感が再び評価されるように。

活字を拾って組み合わせ、版を作って印刷する活版印刷。FUP|ファーストユニバーサルプレスの溪山丈介さん、活版印刷について教えてください。
溪山丈介 
活版印刷では鉛合金で作られた「活字」に文字間や行間を調整する「クワタ」「インテル」を組み合わせて、製版、印刷します。亜鉛や樹脂でできた「凸版」を組み込むこともあります。うちではイワタ明朝という書体をサイズ違いで揃えていて、叔父が営んでいた〈内外文字印刷〉から受け継いだ活字に、活字鋳造機で鋳造するもの、大日本印刷や研究者印刷から母型を借りて、活字屋で新たに鋳込む活字もあります。
FUPは叔父さんの家業を継ぐ形で始まったんですか?
溪山 
叔父の会社は、活字を鋳造するための母型彫刻を専門にしていました。後に、その型を使った活字鋳造、さらに印刷まで手がけるようになり、僕はそこで、中学時代から何度かアルバイトをしていたんです。いくつかの別の仕事を経て再び手伝いに入るようになったものの、2012年に閉業したいという話が出た。そこで、数十万本の活字、専用棚やゲラ箱、印刷機などの道具に加えて、活版印刷の技術をなんとか引き継げないかと画策してFUPを開業しました。5年たちましたが、いまだに模索の日々です。(続く)
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溪山丈介
たにやま・じょうすけ/1968年生まれ。叔父が営む〈内外文字印刷〉の閉業を機に独立、2013年にFUP|ファーストユニバーサルプレスを設立する。書籍、名刺や葉書などの活版印刷を請け負う。

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photo/
角戸菜摘
text/
鳥澤 光

本記事は雑誌BRUTUS871号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は871号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.871
CAMPとHIKE 頼れる道具(2018.06.01発行)

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